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  経年減価率について再考察
 木造の専用住宅においては経年減価率が1.5[%/年]という基本%について、何故1.5%なのかという議論があまりされなくなった。
一般にとか、マニュアルで、こうだと言う御仁が多くなった。
 過去の事案でこうで、こうなっての沿革の果てに基本%という事であって1.5%だと決めつけるのは良くないと考える。
 木造専用住宅の推定耐用年数が53年であり、最終残価が20%で計算すると
(100%−20%)/53年=1.5%だという裏付けが吹き飛ばされ、1.5%だけが横行している。
※ここで法定耐用年数はあまりに少なすぎて、保険上現実的では無い為、除外して述べる。
 20年程前、RC造の建物でいうと(100%−20%)/80年=1.0%という考えがおかしいと当時、議論されることがある。
 80年は躯体の耐用年数であって設備等は含めてないから、躯体の耐用年数80年で大丈夫等という考え方である。
 しかしながら、躯体は主要構造部の内の1つであってそれのみで耐用年数を考えることは危険であり、1つの目安とするべきが妥当であろう。
 実際に、公共物のRC造で80年経過してやっと老朽化等という事はなくRC造で50年経過した建物は老朽化していているから、地方自治体が予算を組んで、建替えしたりするのである。地方によってはこの○○役所の建物は新築後40年で、既に老朽化が進み、公共工事として、移転か建替えが議会で討論されていたりする。では80年の耐用年数はいったい何だ?と不思議に思う。
 解り易く言うと、木造は1.5%,RCが1.0%と決めつけて考える人々は耐用年数を無視している。
 長崎に諏訪神社という長崎の誇れる木造建物が存在する。あまりに偉大な御由緒の神様の鎮座する建物であるから、我々は『お諏訪さん』と呼称し敬意を払って生活している。
 この建物の坪単価は約3,000,000円/坪と一般住宅の建物等と1桁違う。これはヒバ,檜材,銅板葺等の材料費の差のみでは無く、部材の大きさが全く異るだけでは無く、軸組中の柱が105×105m/mの住宅等と違い303×303m/mの1尺正角の構造物であり、耐用年数は300年余り有る。
もちろん何もぜずに300年では無く、掛る日常の維持管理,手直しを施しての耐用年数である。そこで経年減価率を計算すると
(100%−20%)/300年≒0.3%/年となり、1.5%との差が有る。
 この様に目安を決定として取り扱わず、その都度考えていく必要がある。
 焼場へ赴くと、何年経っても損害状況は変化が無く、進化していない中で経年減価率だけが、一人歩きし、決定されてしまっている。
新価保険が当り前となった現在、この様に経年減価率の議論は古すぎと言われた事が多々有る。小生も50歳、この業界では古すぎるロートルで有る事は否定しないが、まだまだ時価保険の鑑定依頼も有る。
 我々は今、原点に戻って鑑定すべきであると日々思う。
 木造の専用住宅の経年減価率は1.5%と決め付けるのは
「風が吹けば桶屋が儲かる」理論と同じである。
 その理論については誰でも知っているから中身は割愛するが一般にA型の多い日本人は几帳面だという法則性を正論とする理論と大差無い。
 耐用年数をしっかり考え、ケースバイケースでその都度考慮し、考えていく必要がある。大量処理の中で、一事故は保険者にとってのほんの一部であるが、被保険者にとっては一生の内の1回の事故である。
 Continuation is the power.(継続は力なり)経年減価率はまだまだ議論し、柔軟に対応し、研鑽を深めるべきと思料する。


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