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  在来工法の人工(手間)数の削減の要因と諸問題
在来工法は軸組を基本として建設する事から木工事は職人である大工を起用し、工事を進める。
現在は殆んど死語となったが『大工手元』という言葉がある。
約8年以上の実務経験がないと、『大工さん』と呼ばれない時代にその職人的な技術を認められないが大工の手伝いをできる弟子という扱いの人々が存在し、業者見積書にも普通に記載されている項目であった。
 しかし、職人芸である『墨打ち』,『カンナがけ』や『のこぎりの使用のコツ』が2〜3年程度の経験で、出来る様になってきた。
 発達した電動工具のおかげである。カンナ、のこぎりに限らず、製材所での『プレカット』により、現場工事が以前に比べて容易になり、熟練大工の必要性が薄くなってきた。
 電動工具の使用により、ハンマーを叩く頻度が最小限になり、施工期間の短縮と若手の大工見習いでも木工事ができる様になった。
 ということで、日当制であった大工手間代が軽減されるはずだった。
 しかしながらここにはひとつの落とし穴があった。
『請け取り』と『常傭』という問題である。
 前者は新築工事でよくつかう遣り方で、下請けの大工に木工事を
55,000[円/坪]程度で引き受けさせ、30坪の住宅なら、\1,650,000円で軸組部分を工事させる方法である。(55,000×30坪=\1,650,000)
 後者は修理工事等でよく使うやり方で、18,000[円/日](九州・長崎市の市場価格)といういわゆる日当制である。
 当然のことながら後者はどんなに効率良く作業をしても金額は変わらないから、大工はこぞって、前者の方を選択する。
 速く、効率良くやれば、1日当りの日当を30,000円に変身させることも可能だからである。
 当然、この事には弊害があり、高価な日当を稼ぐ為に『手抜き工事』が発生し、家の強度が保てない様な工事をする事により、工期短縮を計っているのである。近年問題となった欠陥住宅等がそれである。
 建物が竣工すると、仕上面ではわからないからといって筋交をいれてなかったり、捨張使用のフローリングにコンパネをいれてなかったり、ビス止め仕様を釘打ちしたり、ほぞを切らずに木材を接合したり、羽子板ボルトをとめていなかったり、小生が知っているだけでも、恐ろしい工事が平気でされてしまう(大工に限らず、左官も同様で、ブロック塀に鉄筋を入れなかったりする)。
 主に『建売』の物件の状況が顕著で、手抜き工事のオンパレードになっていたりする。施主がきちんと毎日見に来る『注文住宅』と異なり、どこの誰だかわからない客が購入する『建売り』はどうしてもこうなってしまいがちであった。
 在来工法に携わる職人と元請け工務店はこの狭間で取引きを行ない、施主や購入する客が取り残されてしまうのが在来工法によく見られる問題点である。
 誤解の無い様に申し上げると、最近は耐震や○歯建築士問題で少なくなったが、建築費の下請け間の過剰な値引きがこの様な事態を招いた
ことは否定できない。
 この様な現実からユーザーは信用のある大手建設会社へと注文が傾くのは致し方ない。
 近所の信用のある工務店に依頼しようにも、不景気での資金繰りの問題でここもなかなか厳しく、景気回復を待つより方法が見つかりにくい。

※注 『請け取り』…個人や少人数のグループへの能率給の一種で予め、
歩掛りと作業量を想定し、報酬を取り決めて作業に
着手する仕組み。

『常傭』…元請けが下請け契約以外に、下請け業者より労務の提供を
受け、仕事の出来高に関係無く勤務時間や労働日数に応じて
賃金を支払う方法。


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