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  技術論文から『ですます調』
過去に裁判所で裁判官に「鑑定人はなぜ、現場に何回も行ったのか?」
と聞かれた時、機知に溢れた小生は「はあ、まあ仕事ですから」と答えたらおしかりを受けた。
こちら側の弁護士が一生懸命フォローしたが、裁判官は小生にその真意を聞き始めた。少々頭にきたが温厚篤実で沈着冷静な小生は発言を訂正して答弁した。
 「何回も現場に足を運んだのはその事故原因について、小生の考える原因と被告側の考える原因が異なったので、再々調査を試みて、自身の整合性を検証し、確認する為です。」と言うと、
「最初からその様に言いなさい。」と言われた。
おい、おい俺は鑑定人で第三者だぞ。この俺に「言いなさい」と命令するのか
「発言なさって下さい」だろう。…と思ったがここは法廷である。
少々不満な顔をしつつ「はい、かしこまりました。」と答えた。
その裁判官は悪くない。法律上も全く問題無い。しかし、一社会人として、初対面の小生に命令すんのか。しかも証人として法廷に出て来いといったのは裁判所じゃないのか〜と心の中でつぶやき、平日のこの忙しい時に、こちらの仕事の都合も考えず、小生の都合のアポイント無しで日程を決定したくせに、命令口調かあと腹もたった。
しかし、ここは鑑定人として、客観的に、冷静に答弁しつつ、その日は閉廷した。
 ちなみに、この裁判官は繁華街でもし、小生と出会ったら、敬語できっと話してくださると思うが、人から命令されるのが、大嫌いな小生、罪を犯したわけでは無く、依頼があって現場を調査し、事故状況,事故原因,保険価額,損害額を一生懸命鑑定しただけである。

長崎弁で言うと「あんたから鑑定料はもろうとらん」
(和訳…あなたから仕事の対価である鑑定料はもらってないよ。保険会社にもらったのよと言う意味)

まず、読者のつかみはOK.

とあるA社の査定担当者より、調査報告書である鑑定書を『ですます調』で書いてほしいという提案があった。鑑定料を払っているのは保険会社である。
その保険会社に提出する鑑定書は「経年減価率は○○%と認定する。従って時価額は¥○○を算定す。」等では
なく、『経年減価率は○○%と考慮致します。従いまして、時価額は¥○○が妥当な数字と算定しました。』としなさいであった。
送付状等にはそう書くが、鑑定書には書けない。重みが無い。

報告書は事実と調査内容に責任を持って記述する。
厚生労働省指定通信教育で『技術レポートの書き方』という通信教育の
優秀修了証書を過去に頂戴し、大学で工学士の称号を頂戴し、技術報告書の文章をマスターしているつもりであるが、まだまだ、日々研鑚を重ねている。
『技術文書の書き方と作り方』の教本P64に
「公用文……法律,政令,省令,訓令などには『である体』が使われ、公告,告示などには……箇条書にする部分には『である体』を使ってよい。※会社などの仕事は文書によって動いていると言っても言い過ぎではない。書き表し方について共通の約束が必要な理由もここにある。工場災害が生じたようなとき、関係事業所あてに出される通達が『である体』となっている場合には、一般の往復文書よりは重みがあり、法令と同等に考えて、対処しなければならない。」
と記載が有る。
鑑定人のレポートは保険契約者に提出する訳では無く、保険会社(保険者)に提出するから、鑑定料を頂いているという負い目から丁寧な『です・ます体』を使うべきだという意見もあろう。しかし、保険事故での裁判に至った記憶から言うと、『である調』で全く問題無く、裁判官や弁護士は鑑定人の鑑定書を熟読し、文体について一度もクレームが来たことは無い。
裁判におけるレポートである訴状で『ですます調』は見たことがない。訴状には『金員を支払え』など一般的には有り得ない命令口調で
書かれてある。『賠償金をお支払ください』等無い。
鑑定書は家電品や製品の取扱説明書では無い。

これからのご時世、鑑定書の文体が『ですます調』になる日が来るか
皆様、いかに考えるのでしょう
平成27年12月10日


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