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  所有権が代わった建物の鑑定 おもしろネタ
所有権が代わった建物の鑑定 おもしろネタ

 平成3年9月27日の日本列島を襲った『りんご台風』、長崎県佐世保市に上陸した。
 その際、多忙だったことは周知の事実である。
 事故日から1年経過してもまだ膨大な件数のその損害鑑定処理は継続しており、地獄の日々を過ごしていた。

 事故日から1年後にとある事故報告で立会調査依頼が来た。
その物件は台風19号で被害にあったが、応急処置をして、他人に売却した建物であった。
そう、事故報告して来たのは前オーナーである。

当然、今居住しているのは全然知らない所有者である。
アポイント先が保険契約者では無く、新オーナーである。

もちろん、保険契約は終了しており、保険会社にとっては顧客でも無い。
指示通り新オーナーにアポイントを取ると、
『知らん。○○保険には加入していない。何で電話番号を知ってるのか!』
事情を説明しても、相手にされず。
仕方が無いから、保険会社にそのことを説明し、前オーナー兼前保険契約者に架電頂くと、保険会社に大クレーム発生。

「目的建物は既に売却され、新しい所有者が入居しており、調査不能ですよ。」
と保険会社が説明するも、前保険契約者は保険会社をなじるばかり。
何とかして、調査して当時の被害額として保険金を俺に払えとの一点張りであった。

 罹災日当時の写真無し。罹災時の見積書も無し。応急処置済みの費用の請求書や見積書も無い。単に応急処置で¥100,000くらい掛ったとの情報のみ。

改めて、修理業者もその物件には立会不能で、復旧見積書も作成できないから、保険会社が現在のオーナーに許可を取って、敷地内に入り、調査鑑定すべきであり、現実に掛かる損害額を保険金として受領したいとの主張である。
そう、修理する気は全く無い。

疑問@
今現在(事故から1年後,売却して3ヶ月後)、所有権が無い物件ではあるが、事故日当日は所有権があるからその損害をてん補するべきものなのか。

疑問A
売却された建物は別人の所有であり、当該保険契約と無関係の人物であり、敷地内立会を拒否されているのに、保険会社サイドが調査すべきなのか。

損害額について主張するなら、被保険者に損害の立証責任がある。
ましてや契約が終了して(解約)している物件で、売却済みの不動産である。
当時の契約が有効であっても、もう当時の損害はわからない。

上述の様に、立入り調査不能。

『じゃあ、道路から双眼鏡で見て、その損害を確認して保険会社がいくらになるか算定して欲しい』
開いた口が塞がらない。
おいおい、何言ってんだと思いつつ、対策本部で保留にしていた。

 事実は小説よりも奇なりの如く、その建物は新オーナーが外部に足場を架設して他の業者が外装工事着工になった。

さあ、いよいよ、わからない。当時の損害を確認することができない。

「保険会社がほっといた為に、新オーナーが工事を始めた。
本来売却する評価額が\20,000,000の予定が台風で被害にあった為、¥10,000,000でしか売れなかったから、その差額を払え」という主張で
内容証明が届いた。

無茶苦茶な理論で、本件は弁護士依頼案件となった。

もちろん、損害が立証できない以上、無責である。

当時、忙しすぎて、その後どうなったのかは小生にはわからなかったが、無責になったと思う。

平成30年9月28日


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