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  保険料を返せ!その1
保険料を返せ!その1

とある保険会社の依頼で通常の事案と異なり不思議な依頼があった。
保険会社の料率が間違っているから過去10年間に渡って保険料の差額を
返せと保険契約者が暴れているとの事であった。

正確に申し上げると、支払い過ぎた保険料と正規の正しい保険料の差額の10年分を返還しなさいとのご所望の契約者がいたという事である。

現行保険契約
鉄骨造サイディング張彩色石綿セメント板葺3階建 事務所兼居宅1棟…2級構造

契約者の主張
鉄骨耐火被覆造コロニアル葺3階建 事務所兼居宅1棟…1級構造

1級と2級構造で1級の方が保険料が安く、保険会社が2級で契約して
違反行為をしているとのご主張であった。

査定担当者では無く保険会社の営業担当社員と現地にて契約者と面談した。
『10年前契約した○○さんはどうした!』
「転勤しました。現在は定年を迎え、退社しております。」
『なに〜!』…いろいろお怒りの言葉を発しながら、、、つまらないので割愛。

鉄骨耐火被覆造はRC造(鉄筋コンクリート造)と同じであるから、保険料が安いはずだとのたまう。

弊社がその建物を見たら完全無欠の鉄骨造で2級構造であり、
主張する耐火被覆の部分が見当たらない。

1階車庫の天井は無く、2階の床組みであるデッキプレートがむき出しである。

『鉄は燃えないから、この建物はRCと同じである。故に保険料も1番安いはずである。柱のH鋼は耐火被覆してあるし明らかに鉄筋コンクリートと同じである。だから差額の金返せ!』
…一体この理論の知恵蔵は誰だ?と思いながら…

H型鋼の柱を四角に巻くのは柱型と呼称し長崎市では柱巻きと呼称されている。
要はH鋼をプラスターボードで巻いて、RC柱に見せているだけである。

 現実には空間が狭くなるから、近年はH鋼むき出しの建物も存在する。
鉄(Fe)は燃えないと主張するが、鉄骨造の火災現場はよく存在し、
鉄もアルミも燃焼して溶けたりしている…。

 この契約者はいちゃもんをつけて金が欲しいだけではないのかと考えた。
 実はこの契約者は契約期間10年間に風災(台風被害)で5回程保険金を
受領していた。
 変な言い方をすれば、支払った、支払い済の保険料の10倍くらい
の保険金をもらっているのである。

営業担当社員曰く「あのう、当社の保険料率は間違ってないと思います。もし、間違っていたなら、ご主張通り保険料の返還に応じなければいけないと思います。鑑定人が調査してもやはり、この建物は2級構造と言っていますから、保険料の差額をお返しできません。」

…契約者の怒りの矛先が小生に向いた発言であった。

『おい、こら鑑定人、お前が見て2級構造と言うのは保険会社から金貰っているからやろう!』

…駄目だ。この御仁はこんなことでもめてなんぼかの金が貰えると思っているのか?

しかし、不思議な立会調査の現場である。
事故も発生していないのに弊社が調査している。
平場鑑定(評価鑑定)でもないのに…

 『とりあえず、帰って検討しろ。鑑定人の意見なんて聞かなくていいから。』He said.

下を向いてうなだれている保険会社の営業社員はもうはっきり言って、
冷静な判断は不能なくらい落ち込んでいるし、もう駄目だと判断し、
仕方がないから小生が発言

「あのう、無理です。保険料の料率は誤ってはいません。適正な保険料です。差額は発生しません。本件は2級構造の鉄骨造です。」
なにやら変な事案であったが、社員と二人で保険料返還はできませんと頭を下げてその場を去った。
…いったい、なんだったんだ…
…続く
令和2年11月11日


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