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コンタミ事故による火災…その3
  そのコンタミ火災の調査は五島列島の農家であった。 誤給油したのは冬休みで実家に帰省した大学生の娘であった。 台風常襲地区の離島である為、契約者は台風に強い鉄筋コンクリートで住宅兼納屋を建築していた。    調査を進めると、長女の○○子さんが、石油ストーブに誤ってガソリンを 給油、着火したら、一瞬にして燃え上がり、大変な事になったが、ストーブだけが燃えているから自然鎮火するのではないかと思って見ていたらしい。
  ここに水を掛けてはいけない事くらいはわかっていた。
  室内の酸素が無くなってしまったのか火が小さくなった。
   消火器で消火活動する心の余裕も無く、傍観してしまっていたが、 我に返ってからとりあえず、屋外への避難の為逃げた。
  室外に出た瞬間、玄関ドアを開けたその時に新鮮な酸素が室内に流入したせいか、家屋が爆発したのである。
   爆風で○○子ちゃんは吹き飛ばされた。
  そう、バックドラフト現象である。
   消防署が消火活動をしたものの、当然、建物は火災+爆発で全損に至る。  幸いにして○○子ちゃんはかすり傷で済み、軽傷である。
   面談したら、顔立ちは女優さながらの美形である。
   顔に火傷も無く、事なきを得た。
   父親にとってその事(娘がほぼ無傷)が良かったのか火災現場で、元気である。   公民館で仮住まい中の契約者は娘さえ助かれば、後は働いて また家を建てればいいとの前向きな御仁であった。    ご主人はさすが長崎県人であり、RC造の自宅を『借金コンクリート』と ジョークをかまして、小生と会話していた。
   こちらは仕事につき、冗談を言えない。笑えない。ジョークを返せない。    調査終了後、保険会社の査定社員と代理店の社長と小生の3人が夕方、 ホテル(離島につき1泊2日,船便が無い)に帰ろうとした時にその事象は 発生した。
   ここは平家の落武者伝説で有名な村である。    客人をもてなさず、帰すことはできないらしい。
   夕方の7時頃、調査終了後、避難先の公民館でビールを飲まされる。  もてなしの極致である。
   なんと女優さんみたいな原因者の娘さんが酌をするのである。
  ご主人said.『ホテルでも酒くらい飲むでしょう。』と言われビール を振る舞う。
   小生の立場や保険会社の査定パーソンの立場等全く無視。
   代理店の社長に口だけでも付けないと作法に違反すると言われる。 口だけつけたら、御主人に怒られる。
  ご主人said. 『乾杯の意味を知らんヤツらやなぁ。1杯目は一気飲みするのが礼儀やろぅ。』
   今現在、コンプライアンスなど言っていることとかなりの隔たりがあった。  まあ、20年前のこと、時効であろう。
  令和2年12月11日 
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