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ある日の雨の現場立会…その1
   1月2日、正月の真っただ中、その日は朝から雨、半焼状態 の北九州市の町工場の現場である。
  外壁,屋根のスレートに穴が空き、室内へも雨が流入状態。
  煤の臭いが雨で地面に落ちてちょっぴり得した気分にもなる。
   ヘルメットを脱いで、契約者に挨拶したところご立腹であった。 事故日は12月31日の大晦日である。  弊社が立会調査に伺ったのが、1月2日で、事故日から3日後である。  保険会社が福岡市の鑑定会社に立会調査依頼したのだが、正月休みであり、すべて断られて、他県の鑑定会社である弊社に依頼があった。  正月三が日にアルコールを摂取してなくて良かった。
   朝7時に長崎市を出発して現地10時のスケジュールであった。
  『あんたらは保険料ば取るくせに、火事があってもなかなか来んなぁ。代理店に電話したら、正月旅行で京都におるってよ。 お前ら危機管理ちゅうもんをしらんのか!』He said.  ……。俺のせいじゃないけど…と思いながらお話を聴く。
  『あらぁ。あんたは長崎から来たとや。なんでや。福岡におらんとや! 長崎火災鑑定ちゃあ知らんばい。あんたは契約の時におらんやったろうが!○○損害保険の社長ばここに連れて来い。』 ……契約者からの生の声の苦情、   我々鑑定人はこの声を聴くことが多い。 この様な苦情を保険会社に伝えたところで、何もならない。   ただの怒られ損である。  まあ、被災者はえてして怒りの感情での発言が多いし、 保険会社のその対応の批判が多々であるから保険会社もその様な苦情にいちいち一喜一憂したところで、非生産的な事象として反応は無い。     保険会社から休日に現場に行ってくれと頼まれたから、他県まで3時間掛けて来たのに叱責を受ける。 「大変なことは承知しております。取り急ぎ、中を見せて下さい」 I said.  雨は勢いを増し大雨になった。
   工場内に画板とカメラを持ち込んで調査に入るが、紙に鉛筆でメモが取れない。  方眼紙にボールペンで記入する。  紙が破れる。  デジカメに雨が浸入し、ズームが動かなくなった。
  …続く 令和3年4月7日 
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