コンタミ事故による火災…その4 おさらい コンタミ(contamination)とは混油のことである。
令和2年12月11日からの続編である。5年も空いてしまった。 今はガソリンが高くて有り得ないが20年前はガソリンが100円/ℓくらいで あった。 ガソリンスタンドが規制緩和で米販売もOKの時代である。 個人的には反対であったが当時の政権で規制緩和の一環で町の米屋を一斉に排除した背景がある。 個人的には規制緩和はデメリットが大きいと思う。
あるガソリンスタンドが燃料を満タンにした客には精米5kgかガソリン10ℓをサービス で差し上げるというキャンペーンをしていた。 農家である契約者が軽トラックを満タンにして持参した灯油用ポリタンク18ℓに ガソリン10ℓを頂き帰宅した。 消防法により携帯缶はスチール製でないといけないが何分農家の多い 田舎であった事も含めて何でも有りの状況である。
折からの寒波で自宅は寒かった。 老夫婦はその灯油タンクに入ったガソリンを誤って石油ストーブに給油した。 まあ、よくある話である。 点火すると一瞬にして燃え上がり、パニックになり水を掛けた。 ガソリンは灯油に比べてよく燃える。 水では消火不能で、窒息効果のある消火器の出番である。
過去に何度も述べた様に、マイナス20℃で着火可能な万能の燃料である。 そして国が定めている身近な危険物である。 民間人の力では消火不能であり、消防署の薬剤消火活動で鎮火した。
火災保険の請求があり、60%程焼損した建物であった。 不謹慎ながら経験上一番やりたくない焼け方の仕事である。
誤解を恐れずに発言すると全部焼損させて欲しい! または消火注水で全損になるまで水を掛けろ…である。
当然、契約者、修理業者共に全損主張であるし、見積書が出てくると 当たり前の様に保険金額を超過する金額で提出して来て
所謂経済全損を主張なさる。
いやいや保険価額と損害額とのバランスを考えろよと常々思う。 この事象は昭和の火災現場からなんら変化が無い。
近年、住宅物件は保険金額限度の新価実損払いが多いから保険価額が 存在しないとの発言はよく聞く。
比例てん補も無いし、AMTオーバーで全額支払い。 チャンチャンとの発言ばかり。 それは違う。
全損とは保険価額=損害額なのである。 残存物取片付費用が損害額に含まれないのは残取が保険価額に入って ないからである。 ただし、近年は住宅物件に限り損害保険金の範疇として残取が 損害額算定に含まれる契約もあり戸惑う。
損害額の妥当性、保険価額、被保険利益、損率、この辺りが議論されなくなったのは気のせいであろうか。 令和7年4月30日
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