住宅ローン保険 (回収品現金化)
通称『住ロ』、昭和の時代の保険であった。
現在販売されている住宅ローン保険とは少々異なる。 昭和の時代は保険会社自らが子会社を作って住宅ローンを販売していた。 中古住宅の住宅ローンの引き受けの際に鑑定人にその物件の評価鑑定の 依頼があり同行の上評価鑑定していた時代である。
現在はまず無い。 不動産屋が競売にて落札した建物を客が1000万円で購入して その代金を保険会社の子会社の住宅ローンで購入という筋書きである。
住宅ローン子会社にいる社員は元々保険会社の査定社員OBが多く、 鑑定人との付き合いがあった御仁ばかりであった。
昭和の時代、旧大蔵省が主導し住宅金融を専門に取り扱う会社を設立した。 これが住宅金融専門会社(住専)と呼称されて金融機関である保険会社も小規模であるが参入した。 保険のてん補内容は住宅ローンの過剰な滞納(6ヶ月以上の滞納)の場合 これを事故とみなし、保険会社が自社の子会社の住専に保険金として充当する。 問題はこの後である。 保険会社は本来支払い義務のある債務者から保険金として払われた 滞納した家賃の求償である。 ここは保険会社の仕事であり、査定セクションの隣席に回収班が存在して 電話してアポイントを取ってお金を回収に赴いていた。 今の時代は有り得ないが、
回収班社員said『債務者が金を持ってなかったから高価な100万円の有田焼(壺)を回収して来た。ハマベさんこれいくらになる?』
え~、骨董品の鑑定は出来ませんよと答えた。
He said『冗談だよ。骨董屋を会社によんだから、付き合う?』
Isaid「はい、喜んでお付き合いさせて頂きます。」
骨董屋が来て値踏みする。
骨董屋said『〇〇さんこれ有田焼じゃないよ。でも物はいいから2万円で引取ります。』
『え~っ、わかりました。トホホ、現金でもらうね。はいこれ領収書』
そしてその回収したお金を九州営業本部の総務課に持っていき、会社の口座に入金してもらっていた。
当然、上司は『○○君、たった2万円しか回収してないじゃないか。 何年かかってもいいから絶対回収してね。それと利息もね。』 優しい上司の口調であったが、言っていることは結構えげつないことであった。
保険会社が可視化されていた時代、恐ろしいセクションが存在した。
令和7年5月19日
|