アパート保険金詐取事件 その5
この物語はフィクションである。
英雄の過去の保険金不正請求の情報がA保険会社から報告があった。 法人としての不正請求であり、個人情報保護法は無関係である。
素晴らしい判断をして保険金不正請求を阻止したA社は業界で英雄と なった。 火災現場には魔物が棲んでいることは過去に散々述べている。
放火犯が保険契約者または被保険者であるのかどうかの立証は難しい。 しかも刑事では無く民事である。
立証責任は民間の保険会社にある。
不正請求し失敗し、傷のある過去の持ち主の英雄にはもう失うものが無かった。 鑑定人は長崎地方法務局にて登記簿謄本を取得してみた。
抵当権設定,差押え,差押え解除と登記上はかなり汚れた経歴の建物である。 所有者を見てびっくり。 なんと所有者は個人,故人である実父のままであった。 保険金請求者である被保険者は亡くなった実父の相続権者になる。 英雄もそこは確認していなかった。
所有者は会社と思っていたのである。
いろいろ調べた英雄は相続権者は自分と実姉の2名であることから
被保険者を姉として英雄自体は委任状に『今回の保険金は相続権者の英子(仮名)に一切の権限を委任する』と記載して保険会社に提出した。
これで被保険者の重過失は回避できる。
保険契約者の重過失は法人契約につき有限会社シラサギ不動産であり、
自放火した自分の責任は回避できると判断した。…お馬鹿である。
保険契約者が法人である時は理事,取締役の故意または重大な過失…は保険金を支払わないと記載がある。 …約款をよく読みましょう。
令和7年10月8日
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