自動車等の修理と異なり、火災における建物の所有者や自動車の対物賠償における被害者は50%~60%の損害時、修理をしたがらない。これに保険金の請求が伴う為、話し合いが難航する事は言うまでもない。 我々鑑定人が、被災者(賠償の場合被害者)と話をする際、修理可能であるのに全損主張であるとか、新品取替要求(新築建替え要求)が有る。特に被害者の場合は顕著である。これに修理業者が加わり、全損主張は加速する。業者の主張は「修理しても将来の補償ができない。」これにハウスメーカーが加わって「将来起こるかもしれない不具合の時に責任が持てない。」との発言である。 この様な発言の中には①利潤に因るものと②修理の技術力のなさにある。 ①は修理するより新築したり、新品を売った方(動産の場合は特に)が 面倒臭くなく、手間が掛らず利益が上がる。 ②は事故や火災の修理をした事が無い業者やメーカーが割と多い為、 経験不足による修理不能という判断である。 所有者である被災者が取替えを求める背景には被災した物に対する愛着の無さもある。 更には、被災者側の関係者、親戚、身内ですら、修理不能を主張する。 残念ながら、数字の提示におけるものでは無く、殆ど見た目、感覚的なもの、いわゆるフィーリングでの発言が多い。 法的手段を取って頂くのが当方としても簡単であるが、当方の味方が少ない上に、費用と時間が掛かるという理由により、なかなか訴訟にはなりにくい。 一般に、被災者(または被害者)の話を聞くと、つい同情心も加わり、修理による復旧が困難ではないかと考え易い。しかし、原則として客観的に観察する事に因り、その真実は見えてくる。 修理費が時価額を超過するという、経済的全損はまた別の話である。 技術者や職人の修理する技術のレベル低下が、新品取替えに直接関係している場合も有り、治せるかどうか自信が無いという場合もある。不景気のせいで経験不足の技術者が増加したからかもしれない。 いずれにしろ、問題である。
平成20年6月9日
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