「今更何言っているの?」とベテラン査定担当者,ベテラン鑑定人の叫びが届きそうな気がする。台風,旋風,暴風雨等の風災の事故で現場での対応ではよく言われるトラブルの形態である。現場では必ずおこり得るトラブルであり、避けて通れない事案であるにもかかわらず、あまり文章になっていない気がする。既存の火災保険(団地保険を除く)や総合保険には約款にその明確な記載が無い為、その言葉すら表に出てこない。わかり易く言うと「横なぐりの雨による単なる雨漏りの被害」であり、保険上、支払対象ではない。近年、保険会社各社の新オリジナル保険にははっきりと支払対象外と書いてある物もある。
では、その吹込損害とは何ぞやと改めて考えてみる。
そもそも、吹込損害とは、建物の開口部(建具,窓,戸)から侵入してくる雨水に因る水漏れ損害や、RC造,S造の陸屋根の防水切れや軀体コンクリートのひび割れ部分から侵入してくる雨水に因る水漏れ損害である。これらはいずれも建物の瑕疵によるものであり、事故性に問題が有り、担保できない。
逆に、風災時の水濡れでわかりやすい担保例(支払い対象)は、台風の強風に因り屋根瓦が飛散し、そこから暴風雨の雨が漏れてきたもの等であり、有責で全く問題ない。
要は単なる雨漏りは支払対象外であるということなのである。
近年、在来工法の建物は軒天井にケイ酸カルシウム板を張ってしまい垂木が見えなくなり、吹込濡損も少なくなった。本件とは議論が違うがその軒天井を張り上げることにより、通気性が悪くなり、湿度が増して、木材が乾燥しにくく、白蟻の被害が出やすくなった。矛盾である。あちらをたてれば、こちらがたたず・・・かもしれない。
火災保険とは無関係であるが白蟻損害の防止方法は過去に論文を書いたことはある。その件はまた別の機会に記述したい。
昭和40年代はアルミサッシュの建具が少なく、通常の木製建具で、強風の時の雨の際はそこから吹込濡損はよくあった。その当時は内装に新建材が使用されておらず、天然素材が施されており、シミができても、仕上材が剥離したりしなかった。アルミサッシュの普及により、室内の気密性が増して、外気との遮断が可能になったが、建具を開閉して季節を感じる様な建物が減少し、エアコンが安価になりその普及が拍車をかけ、雨漏りしない住宅が当たり前の現在、吹き込み損害による誤った保険金請求も時代の流れかもしれない。
しかし、外部の破損の無い濡損はやはり建物の瑕疵として担保外である。
平成21年2月10日
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