当該業界における損害賠償や損害額算定の中で、単純に値切り交渉のみが正しいという意見がある。理由は値引きに応じるなら、それが本当の値段と考えるからという小数意見である。工事原価や実行予算等を考えた上で、交渉するのは賛成であるし、ただ単に利益率が相場をかけ離れた見積書であれば、それは交渉すべきである。しかしながら、見積書の部材やその構造、工法を熟知しての交渉でなければ、修理業者が納得する訳も無い。 例を上げれば、工事を請負った修理業者が中小零細企業の場合、材料や部材や資材の仕入れに当り、上位の流通階段からしか仕入れができず、高値で仕入れる場合がある。これを高いと言ってもこの修理業者に不当利得はなく、容認しなければならないと考える。今風のネット価格で勝負すると、ではこの修理業者が仕入れるところの仕入問屋(建材店)が不当な利益を得て、もうかっているのかと考えれば、そんな事は無く、この建材店についてみれば、通常価格である。 いつも利用する仕入れ業者を一つから複数に分けて取引きすると、価格的にその都度安く仕入れ可能であるが、協力という大切な物を失う場合がある。 その時だけ安ければいいという考えで取引きして安価な業者ばかりで複数の業者を選択すると、資材不足や、生産中止品のストックを頼む際に協力してくれるわけがない。更には、工事完了し、工事代金が入金されるまで、資材の代金を待ってくれ等のお願い事はかなうことも不可能で、納品後、直ちに、現金払いを余儀なくされる。そこで、金融機関から借入れての先払いが必要となり、 余分な利息の支払いが生まれ、その分、正当な利益,利潤が圧縮され、経営に大きく響き、ボディーブローで後から効いてくる。 自社の経費節減の為に取引き先を泣かせてもそれは結局、信用を失う愚行に他ならない。「これからは様々な業種の中小企業が淘汰される。大企業じゃないと生き残れない。」という理論が横行しているが、その理論で、中小企業の修理業者を泣かせても、大企業のゼネコンはその会社の規模や下請,孫請,ひ孫請,常用職人という流通の関係から決して安くはできないのである。 修理の目標は原状復旧であって、修理金額の高い安いは柔軟に分析する必要がある。 適価というのは相場であって、利潤もその妥当な利益が必要である。 平成22年11月22日
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