これは弊社従業員に平成25年2月6日に実際に行なった研修である。 問題 Aさんは中学を卒業し、高校進学をせず、コツコツと働いて長い間苦労して生活を切り詰め、貯金して¥10,000,000の頭金を作り、マイホームを手に入れました。築1年でまだ新品同様の建物でした。 建物は土地代金を除外して¥20,000,000で新築し、ローンが残高¥8,000,000です。 ところが隣に住むサラリーマンBさんが煙草の火の不始末で火を出し、Aさんの家に類焼し、Aさんの家は全焼してしまいました。AさんはC社に¥10,000,000しか保険に入っておらず、その保険も長崎火災鑑定銀行からの借入れで質権設定されており、上述の様にローンが¥8,000,000残っており、B氏に¥10,000,000の損害賠償を起こしました。 Aさんは誰からいくらもらえますか? ※ただし、臨時費用,残存物取片付費用等の費用保険金は除外する。 答え これは債権保全の為の火災保険契約で、一部保険の全焼全損である。 質権設定がされており、保険金¥10,000,000の内、担保物件の債務者の借入残高は質権を行使し、¥8,000,000が質権者払いとなる(長崎火災鑑定銀行が質権行使)。 依って、 C社からは¥2,000,000 (10,000,000-8,000,000) 火元の火災を出したB氏を訴えたが、B氏からは¥0である。 これはご存知の様に『失火の責任に関する法律』の通りである。 ここまでは答えは簡単である。 出題者としては 余談ながらのコメントを解答用紙に記載して欲しいと考える。 例 故意(放火等)は別にして、失火者B氏に『重大な過失』があると認められる時に限り、賠償責任を負う。 通常、人としての注意力を著しく欠いた場合を重過失として判断する為、煙草の火の不始末は重過失に当らないと考え、B氏の賠償責任は免れる。 ・・・とまあ、ここまで記載すると満点である。重過失問題は業界では常に議論され続けているから僭越ながら、社内試験ではこの程度でさらりと終わらせたが 実際の現場はそんな簡単では無く、この例の様な火災事故でA氏がB氏を殺害し、そのB氏のご遺体を近隣の竹藪に遺棄したことも有り、我々鑑定人が現場での被保険者との保険金の流れや失火責任法についてもしっかり、説明する責任があると考えている。 ただし、近年はビジネスに徹するべきだとの指示で火災保険以外の周辺知識については被保険者に説明不要と指導なさる御仁が居り、我々も うかつに現地で被保険者の相談にのる事を禁止している諸氏も存在する。 未だに、どちらが正しいがわからない。失火責任法について説明しなかったなら、それはそれで、被保険者が保険会社の本店にクレームの電話をし、不親切な鑑定人を派遣したと言われる。現場での単独立会はその発言の加減が難しい。 ましてや、この手の質問があったなど、保険会社の査定に報告しても、それは本件の支払と関係無いという答えしか来ない場合が多い。 現地で文句を言われたり、保険会社の対応が悪いと言われた等報告しても、当然、子供の使いじゃないんだから、その程度のクレームはいちいち報告しなくても良いとの答えが正しいことは世の中の常識となりつつある。 しかしながら、現場の臨場感を伝えることも我々鑑定人の仕事と日々思っているから、類焼の火災現場の被保険者の気持ちを保険会社には伝えるべきと考える小生の姿勢は変えないであろう。 小生も50歳、後10年しかこの仕事ができない。後任にできるだけ多く伝えていきたい。まあ60歳過ぎても、続ければ良いのであろうが、戦後の脱脂粉乳で育ち、校庭でDDT消毒を受けた世代の小生はこの業界ではもう必要性に乏しくなるはずである。キャンディーズ,ピンクレディー時代は今やAKB48であるし、『V6』と言えばV型エンジンの事で、車のエンジンのV型6気筒の事であり、振動が軽減され、燃焼効率が良く、エンジンスペースが最小限に抑えられ、すごいエンジンだ。BMW社の飛行機のエンジンがスタートだと熱く語った男のロマンもいまやブイシックスと呼称し、歌手の事を言うらしい。 小生の今後は若い世代に移行していく手助けが職務である。 I will become a Retired Soldier in the future. 平成25年2月7日
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