現場立会すると、庇が設置されていない住宅に遭遇する。ローコスト住宅の為の建築コスト削減である。その様な建物を調査する時、ちょっぴり悲しくなる。施工した工務店はオーナーの気持ちを考えて創ったのであろうか? 高温多湿の日本列島にもかかわらず、庇が無く、軒の出が少なく、カーテンとエアコンで快適な生活空間を提供するという考え方である。それも一つの考え方であるが雨の日に窓を開けると、雨が室内に入るから煙草や蚊取り線香は禁止である。 そもそも庇とは建物を風雨や直射日光から遮り、建物を保護し、その耐用年数の増加に寄与している。開口部(窓や掃出窓や出入り口)にはどうしても雨水が浸入し易い。庇が無いなら軒で風雨から建物を護らないといけない。 特筆すべきは日光の室内への直射日光の熱と紫外線を制限する事ができる点である。過日記載した日本人の大切な畳の変色も軽減できる。 日差しの日射角は夏場高く、冬場は低い。夏は日射を室内に採り入れず、冬は室内の奥まで日射を取り入れ暖かくする。これも全て庇のおかげである。 小生は『庇はパラソル(日傘)』と定義している。夏の日に日傘をさし、ビーチではパラソルは常識である。急な雨でも日傘は雨傘としても使える。 『雨など降るもおかし』で庇が有れば、また軒の出が有れば、日がな一日、雨を眺めて庭を見る。遠くで雷が鳴り、稲妻が見える。これ程風流な快適な生活を提供してくれる庇は素敵な建築部材と豪語したい。 まあ、近年の若者は忙しく、家に居ないから、一日中、引き籠ることが無いから、庇も大きな建具も要らないと言われれば閉口してしまうが、古の匠が考え、受け継がれた庇たるもの無視はできない。 庇を銅板平葺きにし、年月が緑青を生み、緑色の庇のまた素晴らしいことは今更語るまでも無いであろう。
平成25年3月19日
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