ある書籍でTime is money.(時は金なり)の和訳を『時間はお金の様に大切だから無駄に過ごしてはいけない』と書いてあった。和訳した御仁は澄んだ心の素敵な人に違いない。しかしこの和訳は現代の日本国には当て嵌まらない。『世の中金だ。時間を無駄にせず働いて利益を上げて税金を多く払え。増税して社会保障に充てるから。』が正しい。さあ時事的情景を散りばめながら本題に移る。 東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)で首都圏の現場立会い調査に行くことができた時の話である。小生の関東での地震保険の調査の立会い件数は974件で1,000件に満たないから、その程度での件数で首都圏の地震保険を語るなと言われるから地震保険の調査の問題点等を述べても、あらゆる鑑定人から論駁されるであろうと思い、最近は地震保険の調査技術について語るのを控えている。そこで理論では無く人間模様について触れて、更にそこに古典的な風情を盛り込みながら『ものの哀れ』に沿って述べる。九州以外で居住したことの無い小生であるが、関東で現場に行って、首都圏である東京に専用住宅が存在することに驚愕した。新宿なんて摩天楼である巨大ビル群しかないと思っていた。殆んど 『おのぼりさん』状態である。個人的には日本の首都は長崎県と思っていたが、東京で現場に赴くと、やっぱり日本の首都は東京都であると負け惜しむ。 ところが、路地を入ると経年が感じ取れる古い木造モルタルの住宅が現実に存在し、人が住んでいらっしゃる。別に長崎の住宅と変わらない情緒あふれる居宅である。親しみを感じる素敵な歴史あるそれである。素敵な木造建物で住んでおられる方が自身の過去を築き上げた思い出の住宅であろう。しかし現場は水物である。建物が親しみのあるたたずまいであるから居住なさっている人の良識があるかというと違う場合もある。だから現場調査は興味深い。一般の方々に小生の仕事の内容を聞かれて建物等の調査鑑定と答えると、『なんだ、人との接触が無いから気疲れしないね』と言われるが、人と会わない現場は殆んど無い。被保険者のみならず関係者,修理業者,代理人,等々、当方一人に対して相手が4~5人なんて日常茶飯事であり、残念ながら、保険上対象にならない事案については複数名に取り囲まれ、罵声を浴びるなんてことは珍しくない。なんとかそこを脱出した後の電車の帰り道がなんて辛いことか、何年やっても慣れない。小生の場合、その日は落ち込むが、数日経てば、気分転換して前向きに考えるから28年もこの仕事を続けている。能天気と言われる時もあるが、若手鑑定人の諸子に小生のこの部分だけは真似して欲しい。若手鑑定人が現場に疲れ、鬱病になるのは同業者として忍びない。あなた一人がそんな目にあってない。 同業者もすべて同じ目にあっている。……だから辞めるなんて考えないで下さい。 平成26年2月17日
|