疲労とはなんぞや?ロマンティストで感受性の高い少年だった小生も年をとり 51歳となり、疲れやすい。事務所にて徹夜で鑑定書作成は無理である。 その代わり、年寄りのせいか眠れない為、朝5時に起床する。朝はオフィスに7時には出社し、仕事を始めている。朝は頭が冴え、仕事が順調に進む。電話も掛ってこないし、ファックスも来ない。すべてが終わって一段落したところで8時30分になり、事務員が珈琲を持って来てくれる。たとえ事務所であってもコーヒーカップにソーサーを付ける様、入社時に指導済みであるが、若手男性従業員にはカップのみで、ソーサーが無い。欧米風に言うと合理的、九州風に言うとただの『手抜き』であるが、誰がVIPかの認識の高さを評価する。 ロートル鑑定人の小生は健康に自信は有るが、疲労回復に栄養ドリンク、 広域災害ではビタミン剤がかかせない。情けない限りである。 さて、今回は機械的事故で部品が破断する原因を実例で述べる。 衝撃試験による結果や引張試験による科学的根拠では無く、現実に、実際に起こっている現場の金属の破断についてである。 破断の原因は応力集中によるものも有るが、継続して使用している部材の金属疲労が有る。同現象は金属の材料が繰り返し長期間に渡って力を受けていくうちに、その金属に亀裂が生じたり、破断する現象で疲労破壊とも言う。 金属疲労は英語で言うと“fatigue fracture”(疲労骨折と訳すと面白い)に相当する。 金属の種類の違うものをボルトで接合すると、力が掛った場合、強度の低い金属からクラックが入る。軽量化の為にアルミニウム合金とタイタニウム合金(チタン)を鉄のボルトで接合すると、経験上、アルミが先にやられる。チタンは剛性と価格が高いがクラックが入ることはなかなか無い。反対に鉄のボルトは破断の前に曲損する。現場用語で言うと『しなる』である。 これはあくまで日本製の機械の話で有り、外国製の粗悪品の鉄のボルトは一番先に曲り、折損する。鉄がアルミに負けている。アルミニウム合金はその種類やその沿革や強度の話をすると一冊の本になるから割愛するが、A7075材というアルミニウム合金は強い。皆様の身近なもので表現すると、超ジュラルミンのことで住友金属が作って零式艦上戦闘機に使用した金属材料である。話を元に戻そう。日本製の金属材料は世界一と考えている。日本の物造りの原点である金属加工は素晴らしい。しかし、保険事故で原因を調べると、一部のパーツに金属疲労に因る破断が発見される。メーカー立会いで担当者を追及すると、各パーツの個体差だと言う。取替えればいいという。これがヨーロッパのメーカーのエンジニアの場合は5年ももったんだからいいじゃないかという発言になる。日本とは文化が違う。 まあ、機械保険等では破断部分より、波及損害のほうが金額的にはるから無視できる金額ではあるが、、、しかし保険事故は原因が一番大切であり、担保危険でいう『不測かつ突発的な事故』程、原因調査は大切である。 責任回避に言葉を選ぶメーカーの担当者では無く、現場の作業者の発言が割に正しかったりする。 経験上、人の話の聞き上手に変身している小生は関係者の知っていることをすべて聞き出す。仕事の為、鑑定人としては正しい行動である。 道徳的には下の下である。人としては最低である。誰だって言いたくないことはあるはずであるが、言葉巧みに聞き出してしまう。 するとメーカーサイドが言う『実はこのパーツは強度に問題が有り、連続10,000時間以上の運転で金属疲労例が確認されています。現行同機は改良されていて、大丈夫ですからパーツ取替えはこの部分のみ無償で取替えます。』、、、、えっ~等々、現場は実に興味深い。
金属疲労、それは鑑定人に当て嵌めると、ロートル鑑定人の小生は若い30~40歳の鑑定人に部品として改良パーツとして取替える時期が来たのかもしれない。 自分のことだから笑えない。 平成26年10月7日
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