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  損害の範囲
我々鑑定人は分損の場合、修理見積書の請求額に対して認定額を算出して対比表を作る。業界では当り前のことである。
 あまりに無謀な請求内容について、時間を掛けて明確な根拠の基に認定金額を算出する場合がある。
昭和63年の冬、上司であり先輩鑑定人のN氏と共に熊本県の火災現場で立会調査した。同N氏は若い頃に鑑定人資格を取得した優秀な御仁であったが、優しさの反面、仕事に厳しい人であった。保険会社の火新課の担当者I氏も同行した。当時、小生は経験が少なく、九州弁で
言うところの『舞い上がった』状態であり、取りあえずの作業、写真を撮影、図面作成、被保険者からの聴き取り、etc、、、
 夕方になり、辺りが真っ暗になった時、火災で分損の現場で、被保険者より修理見積書を提出するとの申し出が有り、電車で福岡に帰ることとなった。
 実際の損害は600万円くらいの焼損であり、見積書がきっと1000万円くらいで提出されるだろうから、話し合いで詰めて600万円くらいで落ち着くと考えた。
後日1,200万円くらいの納得できない見積書が提出された。
保険金額が1000万円で6割焼けたら600万円だろうと思った。
一般に、分損で修理可能なのに保険金額を超過して見積書が
提出されたら一般人は保険金額限度で1000万円全額の請求と考えられる。
 ただ、保険金額とのバランスを考えると、全額払いにはならない。
被保険者にとってその見積書が請求のよりどころとなるから復旧見積書を対比表で仕分けして話し合いをするしかない。
 時効だから申し上げるが、見積書は1200万円の明細が手書きのB5の1枚のみ、対比表も作成することができない程の大雑把なものであった。
 この様にあまりに極端すぎる例もあるが、見積書は突き詰めて言うと
単価と範囲である。単価は各業者で高い安いはある。しかし、範囲については復旧費として、業者も保険認定も同じである。㎡数,部材の取替え本数,鉄骨の重量kg数,コンクリートの㎥数,等々。
 N氏曰く『おい、ハマベこの件はお前が算定してみろ。どんな業者見積書が出ても、範囲があっとけばいいからな。』と熊本の現場でおっしゃった。
 重い一言である。あの時のN氏の言葉は今でも表情付で思い出す。
いろいろあって、今、N氏は小生と違う事務所の重鎮であるからライバル社として面会は難しいが、いつかお礼を言いたいと心に思っている。
明るいN氏はこの事は多分、すっかりお忘れと思う。もう既に27年前の出来事である。偉大な人である為、小生はまだ同氏に追い着いていない様な気がする。損害は『範囲』が重要なポイントである事。『ひとつの建物の定義』の重要性もこの時、N氏が実務で教えてくださった。
 テキストで憶えたはずのことも実践で使うことの難しさをたった一度の現場で教えてくださった。N氏と現場で同行したのは別件を含めて2回だけであったが、もう少し同行して勉強させて頂きたかった。
 It’s never too late to be who you might have been.
(あなたがなっていたであろう人になるのに遅すぎることはない
:ジョージエリオット)
平成26年10月14日


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