一般の店舗の爆発事故の過去の1事例を述べる。 最近の事案を述べたいが、個人情報や企業情報の漏洩の恐れを鑑み、 20年前の過去の事案についてである。 店舗の爆発の損害のケースで、幸いにして人命はとりとめた事案である。 旧保険会社の査定の所長と営業の支店長と3名で立会い調査した。 その店舗は飲食店であり、素敵な店舗名で、その地区では綺麗な女性が経営するところで有り、支店長も個人的にお店で飲食していたらしく、 お客様というより、常連客としても心配だった模様で、約束の時間前に既に現地に来られ、関係者と立ち話中であった。 現場につくと、木造建物の天井がすべて盛り上がり、内壁は穴が空き、建具は硝子と共にグチャグチャであった。屋根は室内の爆風で捲れ、外壁はサイディングが飛散,剥落していた。 被保険者である綺麗なママさんは火傷で入院中ということで、実の妹さんとの事情聴取であったが、誰も爆発事故という意識が無く、火災現場との認識であった。 小生には別に普通の火災現場でのフラッシュオーバーかバックドラフト現象かと考えたが、店舗内の調査中にカセットコンロの爆発とわかった。 寒い冬でカウンター内の足元が冷えるからファンヒーターを点けていたのであろう。 カウンター内に使い切ったカセットコンロの空き缶が3個程有り、ファンヒーターの熱風で同空缶が破裂,爆発に至ったものとほぼ断定できる状況であった。消防署も顔なじみの方がおられ、小生の推定した事故原因を話すとその通りだと言う。 モラル性は無い。火災保険としては支払に問題は無い。所長もうなずく。 空缶を潰して穴をあけとけば、残りのガスが抜けて、この様な爆発事故は起こらなかったはずであるが、妹さんの話だと今まで10年間、この様な感じでごみ出し日まで空缶をカウンター下の生ごみと一緒に置いていたが、爆発はなかったと言う。不幸にも爆発時、カウンター内に立っていたママは爆風の瞬間に火傷に至ったものである。幸い、命に別状は無く、顔に火傷跡は残る可能性はあるが退院すれば、日常生活に支障は無いらしい。 偶然の一致か様々な条件が揃い、缶の中の残りのガスが高温で熱せられ、同缶の中のガスの気体の膨張が極限まで行き、破裂する。 爆発事故の損害形態は何故か床に損害が殆んど発生しない。内装においては内壁か天井か間仕切りか室内の建具が一瞬にして破壊される。 本件において、過去に述べた煙害は無かった。なんと消火活動すらなかった。 そう、火災に至らず、一瞬の爆発に留まり、消防署の消火活動は不必要であった。 内壁の材質はプラスターボードであり、破損というより割損……。 この様なことはテレビでも見て知っている方は多数であろう。しかし、爆発現場を普通に調査する機会は警察,消防を除外して、我々鑑定人がその殆どを占めると思われる。 真面目な議論はこの様な感じであるが、現実には天井の照明器具はぶら下がり、野縁は斜めにぶら下がり、天吊りエアコンは落ちかけていて現場は調査が困難で危険である。ヘルメットを被っていてもやはり危険である。鑑定料に危険手当等無いから通常事案として仕事するが、若手鑑定人がすぐ辞める理由がよくわかる。 現場から逃げるわけにはいかないし、その後のレポート作成も残っているから立会い当日は速報の作成と平面図の作成と写真の整理で深夜までの事務作業という宿題を抱える。
キャンプ場でもたまにあるカセットコンロの空缶処理の不注意による爆発はご注意願いたいものである。
蛇足ながら、趣味でコンプレッサーを購入した。車両やバイクに空気を入れる為であるが、圧力容器そのもののこの機器を使用後ドレンコックから圧縮空気抜きを忘れずにしたいと思う。 平成27年2月6日
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