大規模な工場になると保険の目的として屋外電気配線配管に付保している場合がある。更にその目的に拡張担保特約として電気的事故担保特約を付保しているケースがある。理由は電気的事故に因って生じた炭化・溶融の損害を填補する為である。 電気的事故には焼損に至らずも焦損で済み、火災保険における 『火災』に認定できないものを補填するものであり、物件としては高圧ケーブルの炭化溶融,焦損,バスダクトケーブルの焦損,電動機の焦損,変圧器の 熔損,焦損等、いわゆる工場構内の動力源となるものが事故物件となる。 工場の電気は6,600V等、日常生活で使用される100Vの66倍である。 なかなかぴんと来ないので身近な消費税に例えると消費税8%は3%増 の負担にみえるが、実際は8%÷5%で1.6倍の負担増である。 中小企業の消費税納税額が業績の変化が無くても、納税額は1.6倍である。少々例えが間違いかもしれないが、○倍が大切である。
消費税増税分が保険会社の損害保険金の支払いに3%増えたから保険料の負担を上げる理由は単純に3%では無く、消費税部分が1.6倍になっているからであり、保険会社の支払いの負担増は計り知れない。契約者の皆様のご理解を賜りたい。 またまた少し時事的事情を散りばめながら、、、、
電気的事故の原因は様々であるが、実例として小生が調査した事例として『水トリー現象』がある。 架橋ポリエチレンケーブルの絶縁体中になぜか浸入した水分や異物や 気泡(ボイド),突起などに加わる局部的な高電界との相乗作用によって、トリー状(樹枝状)の欠陥が発生,進展し、ケーブルの絶縁寿命が著しく低下する。このトリーを水トリーと呼んでいる。水トリーとは水分と電界の共存下で樹枝状に成長していく白濁部であり、 絶縁体中に上記異物が混入していたり、内外半導電層と絶縁体間の層ばなれによるギャップ、ケーブル布設工事中に掛った応力集中(ストレス)によって生じたひび割れ(クラック)があると部分放電(コロナ放電)が発生する。この放電の繰り返しにより徐々に絶縁体が侵食され、最終的に絶縁破壊に至る。 現場調査に行けば現実にそこからケーブルの被覆に穴が開いていることを目視できる。 一番わかり易い実例はケーブル布設に曲応力が掛ったまま数年使用している内に、曲り部分が劣化し、ひび割れて症状が出た事案である。 これではまるで高圧ケーブルのすべてがこうなると思われるから補足するが ケーブル布設から経年著しいケーブルに症状が必ず出るわけでは無く、なる時はなる。ならない時はならない。
ちなみに小生の息子のバイクのブレーキが効いたままロックし、走行不能に陥ったことがある。新車であり、洗車や整備,ブレーキ用ピストンへの耐熱グリスアップを欠かさず施していても、なる時はなる。反対にレース用車両として3年ライディングしたバイクで全く症状が出ず快適に作動し続ける場合もある。ならない時はならない。 ブレーキロックの原因はケーブルと同じで、水,異物(泥,石),ボイドの混入があるが、他にもブレーキフルードの湿気混入(水分によるフルードの劣化)もある。 ただし、単にオーバーホールしてフルードを新品に替え、ブレーキのピストンをグリスアップすれば正常に戻る。そこで原因追究をするより、治ったからいいじゃんで終わる。 上記の保険事故は事故原因を追究されるから、多分これが原因で、 『なる時はなる』なんてレポートに書くと、多分、査定パーソンにぶっ飛ばされる。 しかしながら、この様なレアな事故原因は様々な環境やいろいろな事が複雑に絡まり、一つの事象として発生する。だからこそ、日々現場に赴き、実践訓練で勉強するしか方法が無い。 事故原因調査は知識と場数が物を言う。 平成27年3月19日
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