昭和62年8月31日の台風12号の風災事案で実際にあった話である。 既にもう時効である。その時の関係者はこの業界に居ない。被保険者も当時70歳超で代理店さんも同年代,保険会社の査定担当者と担当の責任者も退職し、年金暮らしで一年に一回年賀状が届く。 その時の実例で関係者は小生一人、Aloneである。サッカーで 日本チームが外国で戦うとAwayという日本語は普通に使用されているが、 単独立会をAloneという表現を使うのはおそらく小生一人である。 鑑定人の皆様が真面目なのか、小生が変人なのか、時折、考える。 前向きな小生は『俺が時代の先端に居る』と想い、納得する。
その被保険者と現場調査後、修理見積書を渡され、いくら払えるかと質問された時、あまりに範囲過剰で単価は常識を逸脱し、こんな金額は無理と言ってしまった。持ち帰って考えてこいと言われ、帰れとあしらわれた。 事務所に帰り、査定担当者に連絡をとり、面談の上、同氏と数字を詰め、保険会社としてはここまでだという数字を出し、責任者の了承を得て、担当社員と共に現場に再立会いして話し合いをした。 当時、2回目の立会いに代理店も同行したのだが、その代理店も他界しているので、その御仁の名誉は関係無く述べる。 小生が精査して、保険会社の責任者の了承を得た数字を提示したにもかかわらず、代理店A氏が現場で、『他の業者の見積書を被保険者から預かっていたが、渡すのを忘れていた。』と言い、徐に、他業者のもっと高価な見積書をポンと机においた。もちろん当初の見積書よりも高価で、でたらめな見積書であった。 『こっちの見積書を採用するから、こっちの見積書で再査定して。』 加えて、『今すぐこの場で数字を出して。』とおっしゃった。 小生は驚くばかりであったが、査定担当者B課長代理が現場で怒ってしまった。『最初から言って下さい』…そう、既存の見積書に対して、保険上の支払いについてレポートを作成して、事前稟議まで取り付けたことや支払内容に約1時間掛けて説明した後だっただけに、B氏の怒りは収まることを知らなかった。 A氏の行為はいわゆる、後出しジャンケンである。 冷静に考えれば、どんなに被保険者が納得する数字であっても、同じ行為が行なわれていたと考えられた。 B氏をなだめて、一緒に現場を離れた。 この日の出来事を火災新種SCで責任者と打合せの上、報告すると、 『結局、修理が目的では無く、金が欲しいだけだろう。』 そう、後出しジャンケンをする人々は太古から存在する。コロンブスの卵の例の通りである。人が実際にやった仕事を見て、後から批難し、責任を取らない。 近年思うのは保険金支払いの際の数字がすべて鑑定人のせいに成り易い。 免責金額設定や費用保険金不担保等の保険が横行しているせいか鑑定人はルール通り計算してもやはり悪人扱いは否定できない。
平成27年11月26日
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