有名な画家の駄作と無名な画家の傑作
鑑定人が作成する鑑定書のみならず、現場の対応を含めて我々鑑定人は 保険会社から評価される。 祝日の立会調査や時間外の対応も普通に依頼がある。 もちろん、大勢に影響のないことで目くじらをたて、お叱りを受けることもある。保険会社にはスペシャルサービスが当たり前のご時世である。
ここでいう有名な画家は大手鑑定事務所のベテラン鑑定人のことと置き換えると面白い。 大手であれば、仕事を多く受注し、多い社員数の関係で1ヶ月の鑑定料 売上げが一人当たり、1,200,000円/月(交通費等の雑費を除く)が必要となる。 理由は社会保険料,事務所家賃,事務員の給与,会社の法人所得税,法人県民税,法人市民税、消費税,厚生年金保険料etc
そこで1,200,000円×12ヶ月=¥14,400,000の年間売り上げを鑑みるに その鑑定人の年収は5,000,000~6,000,000円程度しかならない。
いくらベテラン鑑定人でも、その成績を出すためには1ヶ月当たり、 25件以上立会をしないと鑑定書が提出できない。 もちろん、広域災害を除外して述べている。
大手鑑定事務所の経営者は運転資金に非常に苦労することが想像できる。 25件コンスタントに立会しても、提出できるのは20件そこそことなる。 業界では立ち会ったヤツの何件かは死ぬと表現される。 要は事案保留となり、ボツになり、立会調査したものの鑑定書提出ができない事案、いわゆるデッドストックである。 弊社では『死に案件』と言う。
さあ、そんな中ですべての事案をスペシャル対応で行い、鑑定書の傑作ができるかと考えれば、答えは出て来る。
鑑定内容の数字は問題ないからと文章の少ない薄っぺらの鑑定書 となる。
いいのかどうかは抜きにして、22年間も鑑定料の単価がそのままであれば、この部分の改善はすこぶる難しい。
傑作鑑定書を提出する努力は人海戦術等の方法、図面清書の事務員の 有効活用,1事案の分業化等でカバーしていくしかない。
弊社は数多く存在する鑑定事務所で中小零細企業に位置しているから 無名の画家に等しい。
無名の画家の傑作を提出納品できる日は来るのであろうか? と日々考えながら、現場に赴く。
いつもながら、比喩的に述べて、何を言いたいのかは読者の想像にお任せする。 木材の不朽とその原因について述べる予定であったが、次回に順延する。 平成28年12月1日
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