火災のシーズンオフ…火床無い火災
寒い北風が去り、暖かくなると火災のシーズンオフである。 火災は湿度に大変関係するから、菜種梅雨等,梅雨の大雨,夏場の不快指数が上がる時の湿度では延焼しにくい。
この業界の一般的な質問の多くは『なぜ火が出た(着いた)のか?』 所謂、出火原因であるが、火床(例えば流し台のガスコンロの火,暖炉の火,仏壇の蝋燭,煙草の火)からの移火はよくある。 一般に、火床から延焼する場合である。
火床が無いところからの火災はまず、 電気的な事故(トラッキング火災,漏電,家電製品等)か 放火(付け火)である場合が多い。 前者は短絡痕(ショート痕)が発見できれば、問題無い。モラル性も問題無い。 たまにリコールのあった家電製品からの出火は責任の所在でややこしい。 後者はモラル事案であり、頭が痛い。
アパートで焼身自殺した現場等、灯油をかぶって着火していた。 大火傷で助かった例があった。 不謹慎な発言であるが、揮発性の高いガソリンでやれば、死という目標が達成できたのに燃えにくい灯油でやるから大火傷で助かってしまう。 その後のその本人の将来は悲惨なことになることは目に見えている。
更に、自殺未遂本人の所業は他の入居者の不幸を無視している。 延焼して焼損した家財や消火活動で、濡損,汚損した家財のみならず、 寝泊りする場所を奪われて生活に思いっ切り困ってしまう。
過去にも述べたが、室内の和室で花火をして、火災になったケース, むしゃくしゃして浴槽に衣類を入れ、火を着けたケース等、人間の行動は 摩訶不思議である。
寒い冬が終わり、空気が乾燥した季節が春になり、夏に向かい、湿度が上がり、延焼しにくくなったこれからが、シーズンオフとなり、弊社の 昨年の冬に調査した火災現場の回顧録を頭の中で考え直し整理する。
具体的な内容は個人情報保護の観点からデータがすべてシュレッダー行きで書面が無く、パソコン内部のデータも既に消去済みである。 しかし、頭の中に、すべての記憶が残っている。 悲しいかな、延床面積や什器備品の収容場所まで、脳裏に焼き付いている。 保険金手続後は、はっきり言って、もう既に要らない情報、余計な 情報である。
残念ながら、放火が多すぎる昨今、助燃剤が現場から発見できることを知らない犯人が多すぎる。
乱暴な発言であるが、『頼むから、俺をだましてくれ』と言いたい。 稚拙な手法や幼稚な考えで放火するからすぐバレる。 夏場に湿度の高い長崎で夏火事があると、現場に行く前から色眼鏡で スタートするしかない。 工事現場の溶接の火花の火災等は起こり得るが、火床無い部分からの 出火は湿度の高い夏には発生しにくい。
夏火事の殆どは、そう、そこに油があるからである。
ちなみに類焼先への立会調査は有責間違いないから、少々気楽で対応できる。 夏場の火元建物の調査は通常事案の倍以上、現場調査をするしかない。 現場で、自放火を自白した契約者も過去には存在した。 重箱の隅を楊枝でほじくる様な調査をしている小生にバレると思ったのか『妻がガソリンを撒いて放火しました。』と告白して頂いた事もある。
放火の疑義がある出火原因の調査方法は愉快犯が真似する危険性から割愛するが、弊社の調査方法やノウハウは秘密としてご容赦賜りたい。 この仕事をいつか引退する時に、書籍として出すかもしれない。
『自放火は駄目ですよ。すぐバレます。』として締めくくる。 『だって、30年間も火災現場に行き続けてるんだもん。』と言いたい。 平成29年4月11日
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