損害額の逆転現象
徒然なるままに、日ぐらし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、あやしうこそ物狂ほしけれ。 By吉田兼好
動産の損害額について考える。
分かり易く、小生の趣味の一つであるレース用バイクの話で考えて提案する。 とある国産メーカーの1994年製(23年前)の名車と呼ばれる素敵な名車が存在した。 23年も経てば、既に生産中止である。当時の販売価格が¥530,000のバイク である。小生も当時所有していたが、既に22年前下取りで売却済みの トライアルバイクである。
2017年にこのバイクが欲しいと言う御仁が登場して話題を呼んだ。 しかし、中古車でも既に存在が疑問視される当該単車である。
ところが、この優秀な国産メーカーはそのバイクの部品を単体ですべて保存しているという。もちろん修理リペアの為であるが。 そこで、どうしても欲しいユーザーはすべての部品を取り寄せれば1台完成すると考えた。 当時の新車価格が¥530,000のものである。
バイク販売店がメーカーに問い合わせすると、部品を単体ですべてたし算すると、\850,000となり、タイヤは別に¥30,000掛り、デカール(ステッカー),油脂(ブレーキフルード,フォークオイル,エンジンオイル,グリス),消耗品(ブレーキパッド)は別途¥10,000程掛かる。 メーカー送料が¥30,000で、これに一から組み立てると¥150,000くれとのたまう。トータルで¥1,070,000でこれに消費税8%加算
(850,000+30,000+10,000+30,000+150,000)×1.08=¥1,155,600 となり、当時の倍の金額に変身している。
これが、部品単体で買うのと、組立てられた新車を買うのとの違いである。 物の値段の摩訶不思議の世界である。
もともと新車で¥530,000の物に全く同じ物を買うのに総合計¥1,155,600の捻出である。 誰が買うか! 仲間と笑い話をしていたら、なんと一名の金持ちの御仁が手を挙げた。 『俺、買ってもいい。』 …素晴らしい。というか理解不能。
ところが、今現在の現行レーシングマシンであれば同等排気量で¥1,200,000である。保険風に言うと、同種,同能力の再調達価額である。 物の価値感の相違,主観の相違,いやただの物好きである。
2017年現在は同じ名称で¥1,200,000程するが、当然、排気量が同じだけで、性能は次元が違うし、部品が鉄からアルミやマグネシウム合金に替り、 更にチタン合金が各所に施された超一流の物である。空冷が水冷マシンになり、重量が20kg軽量化され、サスペンションは異次元の物で、ブレーキは4ポッドでポルシェと同じ。 性能を求めるか、空冷の重いマシンの味わいを求めるかの違いかもしれない。
金銭的な数学を比喩的に、また人の思い入れを理論的な文章にするの は難しい。
蛇足ながら、実弟は元ディーラーに勤務していて、今は印刷工場で実家の後を継いでいるが、趣味は旧車(4輪)のレストアである。 小生は全く理解できない。
単純な小生は、人が触っていない新しい物が好きで、旧車は嫌いだ! 男らしく、バイクだけで言うと、古いバイクは買うな! 名車であってもただの旧車だ! 新しいのがいいじゃん。
心に移り行くよしなしごとであり、 なんの話かわからないかもしれないが、物事の不条理かもしれない。
蜂に刺されて1日病院に行き、次の日ブヨに刺されてまた病院に行くより、3日後に蜂とブヨの被害を1日で行くと治療代が安価になる。 という事例に似ている様な、違う様な、日々の生活と損害額鑑定がかぶる毎日をそこはかとなく書き作ればあやしうこそ物狂ほしけれ。
この様に、不動産と異なり、機械,什器備品は修理が必要な損害の場合、新価ベースで損率が70%程の損害が出ると部品代が高価になり、 経済全損にすぐなってしまうという事案を日々の思いに結び付け、仕事の辛さを緩和している。
深刻な火災事案や賠償責任保険の難事案を抱えて、辛く悲しい日々を送るロートルの独り言である。
平成29年6月22日
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