工場物件における20万円フランチャイズの鑑定人の悲劇
過去の約款改定を私的に、詩的に述べる。
台風襲来後の工場物件の現場調査は季節がら暑い、熱い、厚い。 ヘルメット着用で、大規模な工場の敷地内を歩く。 汗が止まらない。熱中症になる。
東京ドームと同じくらいの面積の敷地内に建屋が30棟建っていた。 昭和62年までは各建物ごとに20マン円フランチャイズ適用であった為、 『第3工場は竪樋1本の飛散だから20万円いかないからこれはパス, 第8倉庫は硝子1枚だけだからパス,第15社員食堂はスレート1枚飛んだ だけだから、これも無責。じゃあ本社工場だけ対象ですね。』
なんて、大規模工場などの経理部長と事務的に調査が進む。
ところが、昭和63年の全保険会社の約款改定から、1事故1構内での 20万円フランチャイズに変身し、工場の敷地内のすべての損害を加算して20万円超えればOKとなってしまった。 ご存知の様に、この約款改定が鑑定人の悲劇を生んだ。
このことが、鑑定人の手間を増やしてしまい、工場内に建物が30棟有ればすべての建物を立会調査しないといけない。 すべての建物の保険価額と損害額を算定しなければならない。
広域災害時に被災者が超複数存在しているにもかかわらず、1日1件のみしか調査ができず、保険会社の対策本部でお叱りを受ける。
「この忙しい時に、1件しか回ってないのか。他の鑑定人は4件も調査してきているぞ。」 …ちなみにその鑑定人はすべて住宅物件のペティークレーム4件であった。
『おいおい、住宅物件と違うんだぞ。1被保険者でも30件分の被害調査を したんだぞ。ましてやヘビークレームじゃん。1億円超の支払いだぞ。本店決裁ですよ。』 と、この様な主張が通ったことは無い。
デリバリでヘビークレームに命中させられた不幸と考えざるを得ない。
約款改定における鑑定人の悲劇である。 あれから30年経過してしまった。
近年の鑑定人は資格を取ったその日から、悲劇を経験しないといけない。
平成29年8月4日
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