ステンレスボルトのかじり 機械保険のボルト破断後の異物混入
機械装置のユーザー(被保険者)がメーカーの指示を無視して、工場内のボルトを ステンボルトに替えているとかじりを起こし、ボルトや接合部が折損し、破片が機械内に入って損傷する。 造船所が多い長崎の町工場は海に近い位置に所在し、いた仕方ない。
小生の体験談
ヘキサゴンボルト(六角)が緩まない時に、CRCを掛けても、ボルトが外れなくなり、最後にはボルトの頭のねじ山が潰れて、レンチで回せなくなり、酷い時にはボルトの頭がちぎれる。
ねじ山が駄目になったと判断した瞬間、スクリュウーグラブ等のケミカル剤で回る 場合もある。
ボルトの頭がちぎれて、筐体に残った折損したボルトの破片を取り出すのにドリルや専用工具を使い、外す。ひどい時にはそれだけで一日を費やす。 これが、ボルトのかじりである。
要はボルトが回せなくなってしまう現象である。 小生や同業者は焼付と言う。
ボルトがかじる原因は経験上、下記4種類である。
①ねじ山の摩擦熱でボルトが膨張しねじ山が溶着し、かじりが発生する。 緩んでしまう事を恐れての行動である。
②異物(ゴミ,塵,金属粉)などの付着でかじりが発生する。 逆に近年、緩んで欲しくない部分のボルトに「ネジロック」という液体を塗布して締め付ける箇所もある。本当は正に異物なのであるが。
③締付トルク以上の力で締込み過ぎて固着する。 トルクレンチ無しで、現場でエイヤーで締めた時にやってしまう。
④中古のボルトの再利用でかじりが発生する。 貧乏な小生はよくやってしまう。
はっきり言って、日本製のボルトは精度が良く性能がいいが欧州のボルトは残念ながら当たりはずれが存在する。メイドインジャパンがいい。 鑑定人に当たりはずれがある様に………ここは笑えない。
余談であるが、解体工事中、建築用の釘やビスを外した後に、再利用する職人はいない。 曲がっていたり、歪んでいたりしているからに他ならない。 新しい物好きで紳士的な長崎市の職人の場合は釘やビスは安いから、 使い捨てと考えているかもしれない。 ただし、現場に落ちた釘やビスは拾って帰れよ!車のタイヤがパンクするだろう! …時々理不尽な御仁も存在する。
さて、鉄と異なり錆びにくいステンレス製のボルトの話である。 錆びない鉄では無く、錆びにくい鋼である。 いいじゃん、いいじゃん、最近は錆びにくい様に包丁もステンレスじゃん。 とはなりにくい。
ステンレスボルト(ステンボルト)は残念ながら、かじりやすい。
機械工学的には摩擦係数が大きく(鉄ボルトの2倍)、熱が発生し易い。 熱伝導率が小さく(鉄の1/3)、熱が逃げにくい. 熱膨張係数が大きく(鉄の2倍)、おねじとめねじが密着しやすくねじ山が溶着する場合がある。 ステンボルトのかじりを防止する方法はまず、ボルト装着前にねじ山を綺麗にして、異物を除去して、適切なトルクで締付ける。
現場ではねじ山に薄くグリスを塗布することも経験している。 機械工学的には摩擦係数が下がる。
しかしながら、ステンボルトが締まりやすくなり、規定トルクで トルクレンチで締めても、ねじ山を破損させる場合がある。 チタンボルトでも経験してしまったことも有る。
馬鹿と鋏は使いよう、の如くその場その場に応じて、用途を使い分けることが必要である。
錆びるが、鉄のボルトが一番いいかもしれない。
ちなみにオートバイは軽量化の為にアルミニウム合金のボルトが存在するが、はっきり言って、強度は全く無い。 しかし、その軽さは手に持ってみても体感できる。 小生の息子のバイクはアルミだらけでかなり軽量化している。
やはり用途を使い分けることが肝要である。
餅は餅屋の格言通りである。
またまた比喩的に、言いたいことをぼかして記述した。
平成29年8月18日
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