銅板葺き
屋根の銅板平葺きは施工した時は新品の10円玉と同じで金ぴかの黄金色 である。 月日が流れ、その銅板が錆びて緑色に進化する。 ここはこの緑青現象を変化といわず、進化といいたい。 屋根の重厚感が増し、その建物の沿革,新築時の思いが緑青の緑色の屋根が風格を増し、建物が成長して大人になる様な品格が出て来る。
建物は新築後の20年先を考えて設計しないといけないという弊社 のベテラン1級建築士の日々の発言の通りである。
茶道は素人の小生も利休の『わびさび』の言わんとする部分が銅板葺きに通じている様な気がする。 新築当時は金ぴかの建物も後は老朽化に向けて進行するのでは無く、『侘び』に変化し、地味になり、『寂び』に転じる。
よくもまあ、勝手な判断やロマンチックに考えるものだなあと言われることがあるが、銅板葺きの真の狙いはここにある様な気がする。
金ぴかだった小生も経年により緑青と変化し、鑑定の悟りを開く時に近付いているのかもしれない。
近年の保険会社の指導,指示に納得できない部分はあるが、緑色になった銅板葺きの屋根が何も文句を言わないが如く、小生も沈黙する。
若い頃は真面目に真剣に、真っ向から議論したが、今現在は保険論について議論すると、担当者の考えと異なる場合、すぐ、出入り禁止となる。
たとえそれが間違った指示でも逆らうと答えは一つ、 『はい、業務委託契約取り消し』となる。
銅板葺きは何も語らない鑑定人の姿に見える。
高価な銅板葺きもいいところがある。 それは降り棟の施工が瓦と異なり、割と簡単に施工できる点である。 雨漏りも少なく、屋根重量も軽減できる。
お年を召された小生は銅板葺きの如く、静かに、緑色に進化して 行きたい。 平成29年10月3日
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