毛細管現象
過去にビー玉,ビーズ等の硝子製品の工場に立会調査した時の事象 である。 仕掛品であるビーズはストロー状態の硝子であり、それを切断して ビーズが仕上がる。
現場調査中に感じたことはビーズ製造工場は熔解したガラスを生成する 為、工場内が熱い、暑い。温度計を見ると45℃である。 作業員は真冬にも関わらず、半袖シャツで汗だくで働いている。
ネクタイに作業着を羽織り、調査に行った小生は真冬に汗だくとなった。 同行した弊社鑑定人助手が『暑いですね。やってらんないですね。』と 小生に本音を漏らす。 「仕事や。我慢せい。」と叱るしかない。 心構えが出来ていた小生の本音は 「だって、この工場の損害調査は3回目。」
濡損したビーズの仕掛品の中には毛細管現象でストロー状の硝子管に 水が浸透して、使い物にならない。
毛細管現象とは硝子管の隙間のような細い空間を、重力や上下左右に関係なく液体が浸透していく現象である。 立端のある高い杉の木等の根っこから水分を末端の葉っぱまで水を運ぶ のはこの現象に因るものである。 決して、ポンプ等の様に吸い込んではいない。
水等の液体中に細い管を立てた場合、管内表面に対する液体の付着力と 表面張力との作用で、管内の液体面が管外の液面より上昇する。 これを毛細管現象という。 聡明な鑑定人諸氏はよくご存じと思う。
理系出身の小生はこれを数式で表現するとH=2Tcosθ÷γrとなる。 H=高さ,T=表面張力,θ=接触角,γ=液体の比重,r=管の半径 解り易く言うと、管の半径rが小さくなればなるほど、植物の上に上に 水が届く。 当然半径rの小さいビーズ管はその細さから水の浸透が進み、Hが大きくなる。
損害の認定として毛細管現象でビーズ内に浸入した水は抜けない。 それが何万本もある。 硝子が濡れただけだから、 拭き取って、乾燥させればいい…とはならない。
損害認定はその仕掛品各々の全損と廃棄処分(残存物取片付費用保険金)しか方法が無い。 ただし、ビーズ管の単価が1本1円以下につき、LOSSは大したことない。
水が入った硝子管、それは鑑定人がこの業界に入り、ペンディングを処分しない限り退職できない事象に似ている。
平成30年1月23日
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