鑑定物語 『お前はこの仕事に向いていない』
連日の猛暑の中、台風7号の被害調査で忙しい。 もちろん、平行して一般事案の火災も立会する。 体感温度は40℃超えで、汗びっしょりで帰社する。
毎日、自宅に帰らず、事務所に宿泊して夜間は速報作成 書類整理 毎日、仕事しかしていない。 前にも述べたが、弊社は事務所にシャワールームがある。 人間として清潔に働く環境は整備済みである。
洗濯機も完備しているが、睡眠は寝袋というお粗末な部分もある。 家族のお勧めで、先日、自宅から布団を事務所に運んだ。
夜中午後11時過ぎに、取引保険会社にドラフトの作成分をFAXで送付する。まだ、家に帰れない。 そうだ。事務所に泊まって書類作成すれば、その往復の通勤時間分、 鑑定書が書けると前向きに考える日々である。
やっていることは人としてどうかと思う時がある。
自宅に帰って24歳の娘に面談,打合せ,仲良くなることを協定したい。 最近やっと、距離が縮んだと思っていたのに、自宅に帰宅しないことで 距離が離れたかもしれない。
あれは確か昭和63年だったと思う。 サラリーマン鑑定人だった小生は尊敬するA鑑定人(もちろん、会社の上司)に 親しげに話しかけた。
飲み会の席だったと思う。同期入社は4人いた。
あまり上司に好かれない性格の小生も、社会や会社になじもうと 上司に少々媚びを売りに行った。
A氏の開口一番『ハマベ、お前はこの仕事に向いていない』 「えっ」小生は次の言葉が出なかった。 すぐさま、そーとその場を離れた。
30年経過してもその時の光景を鮮明に憶えている。
その上司の退職前に小生は会社を退職し、独立開業した。 その後その上司も会社を退職なさった。
今現在、その言葉の重さを分析している。 多分、その指摘は正しかったのかもしれない。
揉め事が多いこの仕事からピュアな小生を離職させたかったの かもしれない。 サラリーマン鑑定人を10年やって、独立開業して22年経過した。 あの時の上司の言う通り、この業界を辞めていれば、もっと違う人生があった可能性がある。
しかしながら、オーヘンリーの小説の『運命の道』では結局、同じ結果であるという意見も否定できない。 今現在のこの忙しさを鑑みるに、30年前のあの時、この仕事を辞めておけば人間らしい生活ができていたかもしれない。
※たまには人生ネタにて
平成39年8月6日
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