家上工事(いえあげこうじ)
長崎県では家上げ,家揚げ,不同沈下修理等といろいろな呼方で その専門業者が普通に存在する。
その業者の本業は「曳家工事」であり、区画整理や道路拡張で 既存建物を取り壊さずに移動したり方角を回転させたりする工事を 請負っている。 特に文化財の移設等はこの業者がいないと成立しない。
専門職でその技量や経験のノウハウが重視されており、誰でも出来る仕事では無い。 何十年もこの仕事をやっているというプロフェッショナル集団である。
建築の専門家が起業して今日から開業なんてまず無理な職種である。
現場の勘や過去の事例が必要な仕事である。
家を吊ったら崩れたなんてことは許されない。その責任も重い。 船舶のサルベージに似ている部分がある。
曳家工事はまた別の機会に触れるが、損害保険上、曳家工事は 賠償責任保険でしか存在しておらず、火災保険等の物保険で曳家が出ることは無い。 曳家している最中の賠償事故発生等しかない。
さて、地震による地盤言沈下,液状化現象による基礎コンクリートの不同沈下の際に、ジャッキアップ工法と呼ばれる手法で、傾斜した建物をジャッキで水平に戻し基礎コンクリートを遣り替える方法であり、小生には珍しくも何ともない。
軽微な損害の時は、測量機で、水平を出して、ジャッキアップして基礎コンクリートと土台の間にモルタルを詰めてレベル出しをする。
鑑定人の職業に就いて、実際にこの手法の現場を見たのは平成元年で もう29年も経ってしまった。
現在、軽微な家上げ工事は16,000~20,000円/坪であり、 30坪の住宅の場合30坪×16,000~20,000円/坪=480,000~600,000円程 で安価である。
しかしここで安心してはいけない。 家上げをすると、まず、99%の確率で内壁にクラックが発生する。
だから、この家上げ費用+内装の遣り替え工事がプラスされることが重要である。 100㎡位の平均的な家は内装工事を含めて、2,500,000~3,000,000円 掛かる。
『家が水平になったから仕上げ材である内壁のクラックはいいよ。ひび割れしてても住むには問題無いよ。』 なんて言われたことはただの一度も無い。
平成30年8月20日
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