火災鑑定人事案依頼書
とある保険会社の弊社への依頼には『火災鑑定人事案依頼書』と記載がある。 素晴らしい。 鑑定人の沿革をそのまま反映した記載である。 ちなみに税法上の鑑定人の扱いは『火災鑑定人』と記載がある。
近年、一般的には『社外発注機関調査依頼書』と書かれてある場合が多い。 悲しいかな後者は鑑定人を「客観的な立場から保険価額と損害額を算出」 では無く、損害を調査してこいという風に聞こえる。
心無い査定担当者からは『仕事出してやっている』と普通に言われることが多い。
『おたくが嫌なら よその鑑定事務所に発注するからいいよ』なんて、 言われることも日常茶飯事になってしまった。
弊社も台風損害の調査でパンク状態であり、無休で働き、超忙しいから、 「すいません。じゃあ、次回はよろしくお願いしまーす。」 と優しく逃げる。 同業者のライバル鑑定会社も忙しいはずである。 そしてあちこちの多忙の鑑定会社から断られて、弊社に戻る。 なんだかなあ、、、と思う。
『客が日曜日に来て欲しいと言っているから、日曜日に行ってほしい。 それが嫌なら、客にアポイントを取って日にちをずらしたらいいんじゃないか?おたくで勝手にやってくれ。』 …これももう、普通の会話になって来た。 そう、ただの外注機関という認識の御仁が多々存在する。
ただし、木材の腐朽では無く、インターネットの普及で、、契約者が事前に 鑑定人の立場を調べてある時が多く、現場で鑑定人の立場を理解して いる人々が増えて来た。
『鑑定人が来るのはわかるが、契約上のクレームや契約締結後の対応がまずいこと等は保険会社に言いたかったのに、鑑定人一人で来やがって、あんたが、保険会社に言っとけ。』 …これも普通の会話である。 鑑定人は契約者のメンテナンスはしない。できない。
『フリーダイヤルで事故報告したら、担当が何名も代わって、証券番号を何回も聞かれた。保険会社は顧客のことを親身になって考えていない』 …等と鑑定人には関係の無いクレームが多い。鑑定人の皆様はよく経験している事象である。 ※ここは弊社でそのシステムや今後の方向性を説明する立場に無い。
悪くも無いのに怒られて、そこは心の中でスルーして、損害調査をする。 そういう時に限って、保険契約者がお亡くなりになっている。 被保険者がこの世にいないから、相続権者を聴取する。 でもここは本来、鑑定人の仕事では無い。 しかし、ここを自分の仕事じゃないと放棄すると、 『子供の使いではないんだから、ちゃんと聞いて来い』と言われる。
55歳の小生は資格を取って32年、保険会社の20代の査定担当者に文句言われる時はなかなか辛い時がある。 「それ、保険会社の仕事でしょう。被保険者が死去して、3年経過しているのに保険料は受領したままであれば、御社で顧客の整理,名義変更等すべきですよ。」 なんて提言すると、 『それは客に通知義務があり、まさに営業店の仕事であり、査定は関係無い』と返答が来る。
鑑定人の仕事では無いことを認めて、発言なさっているから興味深い。
調査依頼書には建物の所有権を調査しろとは書いてないが、被保険利益の考え方から、それは保険価額を算定する一部だとなるであろう。
結論は鑑定業務外の周辺事情もすべてやって来いと言うことに尽きる。
残念ながら、進化の無い業界であり、退化している業界に見えるのは小生だけであろうか。 地震保険の立会等は保険金請求書等の取付も鑑定人の仕事になっている。 理由は国が絡んだ保険であるから、鑑定人が取り付けるべきという業界の暗黙の了解である。
もちろん、ちゃんとした査定担当者も存在するからすべてでは無い事 を申し添える。 平成30年9月11日
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