膨大な記憶 その2
翌日、と言っても7時間後である。出社したら、その上司も既に居た。 この人、寝たのかな? なんて思いながら、この人のせいで睡眠時間の少なかった小生、 午前9時にあくびをしてしまった。
なんと、その姿を見逃さなかった上司にこっぴどく怒られる。 反省しつつ、昨日の火災の損害を見積もりしていると、 図面を引かなかった上司が、その現場の間取り,仕様を記憶していた。 『おい、ハマベ、ここはジュラク壁やったやろ、ここはモザイクタイルだっただろう。』 小生は思った。 そこまで記憶するなら、小生は不要で、あなたが一人で仕事しとけばいいのではないか? …と言えるわけも無く、改めて、この鑑定人の記憶力の凄さを知った。 小生は「図面に記載しとけば、その記憶は要らんよね。写真を撮影しとけばこの事案終了後、すべての内装の仕上を忘れていいよね。」 と考えた。
まあ、脳みそのキャパシティーを限界まで、使う必要性は無い。メモでOK。
10years later
尊敬する、いや怖かった上司のせいで、現場の図面を引きながら、仕様をメモするが、頭に記憶として残る様になった。
過去に立会した現場の仕様が今でも言える。 なんて無駄な記憶であろうかと思う。
事案が終了すれば、すべてリセットして、忘れていい様なことだらけである。 元カノの誕生日と同じで、憶えていても1円にもならない。
加齢により、物忘れがひどくなり、1週間前に食べたランチが思い出せないにもかかわらず、現場の事はよく記憶に残っている。
職業病である。上司の膨大な記憶力病に感染してしまっている。
他界されたが、今、その人と面談し、火災の事故現場のことを論じてみたい。 今なら、その御仁に近づいた能力を所持しているかもしれない。
いや、まだまだ修行が足りないかもしれない。
平成30年9月12日
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