ノートパソコンを使用禁止としたある取引先の責任者
10年前の出来事であるから、時効である。 当時、スマホは普及していなかった。 弊社は10年前、従業員にノートパソコンを使用させていた。 机の上に図面を広げて、写真と見積書を広げるにはデスクトップパソコンは 邪魔と判断して、ノートパソコンを貸与していた。 もちろん、そのパソコンは弊社の所有であり、家に持って帰ることは禁止 であり、現場に持ち出しも禁止していた。
とある保険会社の火災新種の所長が突然訪問し、監査であるとのたまい 弊社を調査し出した。 個人情報の漏洩が無いか調べるとのたまう。 弊社のパソコンをいじり出し、仕掛鑑定書が覗けるかどうか マウスをカチカチいじる。 『やめて下さい。御社以外の事案もあるから、いくら保険会社であっても他社である鑑定事務所のパソコンを触るのはよくないですよ。』
A氏曰く「パスワードは何?」そう聞くと、勝手に入力して仕掛鑑定書を覗く。 「ほら、部外者が勝手に個人情報を覗けるよ。もし、このパソコンが盗難にあったら、個人情報が漏洩するよ。そもそもデスクトップパソコン以外は認めない。 携帯電話の履歴も調査する。そこに契約者の電話番号が残っていたら、直ちに消去しなさい。」
小生曰く『いかに大手企業であっても、弊社のパソコンの中身を覗くことは それこそ、企業情報や個人情報が入っているから、やめて下さい。』
もちろん、聴く耳持たずの御仁であった。 A氏曰く「ノートはあなたが居ない間に他の従業員が家に持ち帰って仕事 するかもしれない。その際、そのパソコンが盗難にあったら、 個人情報が洩れる。どう、責任をとるつもりか!」
小生曰く『他人の家に訪問して、他人のパソコンをいじるなんて、 私のかみさんの身体検査をする様なものですよ。お引き取り下さい。』
A氏はしてやったりの顔で曰く 「ノートパソコンを全部デスクトップパソコンにしないなら、お取引を停止します。」 …もちろん、この後、その御仁から弊社は出入禁止の処分を受けた。
それから5年程経過し、その御仁は転勤でいなくなり、その会社の災害対策本部に伺う機会があり、そこにいる鑑定人のすべてがノートパソコンで仕事をしていた。 なんと、社員もノートパソコンであった。
スマホと携帯電話で契約者にアポイントと取ったり、当時の指導は反映せず、時代が代わったのであろう。
プロ営業マンがタブレットで保険契約を締結する時代である。 そのタブレットを紛失した時の対策なんてA氏が居たら指導するであろうか? 時代が代わったからという言い訳をするであろう。
しかしながら、いかなる時代であっても、いかなる理由があっても 取引先の鑑定事務所のパソコンを触って中身を見る行動は許されないと思う。
もう、10年前からこの会社とはお取引はゼロであるから、別にどうでもいいと思っていた。
すると、東京に転勤したA氏から電話があった。 「会社の車販で、ディーラーに紹介しないといけない部長命令(社命)を受けた。ぜひ、車購入を検討頂きたい。」
今風のギャグだと思い、大笑いをしてしまった。
『あのう、弊社は悪くないのに出入り禁止を食らいましたよね。』 『弊社は法令遵守していたのに、ノートパソコン使用で出禁にしたでしょう。』
「いやあ、あの時代は仕方ないですよ。会社の方針で鑑定事務所の指導と監査でコンプライアンスを徹底した時代だったからね。ワタナベさん、会社で車要るでしょう。1台買って下さいよ。」
『私はハマベです。ワタナベではありません。突然電話してきて車買えですか?』 『私はベンツしか興味無いですよ。(因みに小生はアクアに乗っていた。)』 と冗談をかます。
そう、立場の逆転である。
「いや、当社はその車種のディーラーとお取引が無いから、国産の○○社の車にして欲しい。保険契約者を訪問する際にベンツなんかで行くのは失礼だし、それはお客様に対する配慮に欠けてますよ。 国産の〇ローラくらいでいいから、ディーラーに紹介させて下さい。」
…お取引も無いのに指導が入る。
※誤解の無いように申し上げるが、メルセデスベンツは所有してみたい。 経済的な事情で買えないだけであり面目ない。
『△△さん、保険会社は保険を売りなさいよ。あなたが車売ってどうする。 車買えというなら、電話じゃなくて、訪問してカタログの一つも持って来なさいな。 そして今、弊社は車買ったばっかりで新車ですし、買い替え予定はございません。』
「え、新車ですか、じゃあ今売ったら高く下取りしてもらえますよ。 カタログはディーラーに持って行かせますよ。」
…開いた口が塞がらない。
しかしながら、出禁にした取引先に車販営業の電話ができるこの御仁は ある意味すごい営業力である。図々しいが逆にすごい。
『今現在、御社のお取引先の鑑定事務所に営業して下さい。 失礼致します。』
…その後、うわさではA氏は退職なさったらしいが、取引先の 中小企業イジメをしてもその見返りは少ないことを学習して余生を生きることであろう。 大企業を辞めたら、ただの人であることを身を以って体験なさるであろう。
追伸、 中小企業であっても小生は社長である。 社長には〇ラウンか〇クサスくらい買えと言えばいいのに、そこは詰めが甘かった。 平成30年10月24日
|