困った鑑定依頼で笑い
1年に1件あるかないかの依頼しかない取引先から大至急で 現場立会調査依頼が来た。
『普段頼んでいる鑑定事務所が風災と地震で手一杯だと断られた。 本件は自動車の対物事故で被害者がご立腹している。 (小さい会社の)お宅なら行くでしょう。大至急現場に行って被害者 と話し合いして協定までしてきて欲しい』 …これは昭和の話ではない。平成30年の話である。
当然のことながら、 「弊社も台風の事故で手一杯でございまして、今すぐ至急立会は 不可能でございます。」…本当に多忙で、体力的に限界であった。
『うちの仕事を断るなんて、お宅との今後の付き合い方を 考えさせてもらいますよ。』
「今言ってきて、今すぐ対応なんて難しいのはどこも一緒でございます。 普段付き合ってる鑑定会社に断られたからと言って、申し訳ございませんが、年に1件くらいしかご依頼の無い弊社に義務的に発言なさり、 なおかつ脅し文句はまずいですよ。」 …別に御社の仕事が無くても大勢に影響は無いと思いながら、、
『じゃあ、どうするか、上司と相談してまた電話掛けます』
もちろん、スケジュール調整に余裕が有れば、仕事は受ける。 猫の手も借りたい時の猫の手が弊社となると、当然、こういう時しか依頼は来ないことは過去の史実と経験で理解可能である。 物理的なスケジュールの問題は別の話である。 弊社も広域災害の立会依頼で未立会事案が30件山積みの状態である。
社歴の浅い社員が弊社との今後の取引を考えるなんていう発言は 大企業の社員としてどうなのかと考える。 思っても発言は控え、言葉を選ぶのがビジネスパーソンである。 虎の威を借る狐なんて格言を学んでいないのではないかと腹が立ってしまった。
翌日担当者の上司より電話が入り、なぜ対応できないのかヒヤリング。
『被害者がすぐ出て来いとクレームが入っている。今電話に出たということはすぐ出れるでしょう。大至急現場に行って被害者と面談して来て協定までしてくるのがあなた達鑑定人の職務でしょ。もう事故日から1ヶ月過ぎてる。相手が怒るのも当然だ。』
…事案を放置していたのは弊社では無い。 駄目だ。この人もわかってない。
「あのう、どんな事故なのか、事故場所はどこなのかもお知らせ無く、 とにかく行って来いと言われても、場所どこですか?」
『ああ、五島市の○○町ってとこですが。』 …離島じゃん。五島列島じゃん。飛行機で行かないといけない。
「あのう、そこは陸続きじゃないから、1日2便しかない飛行機を予約して行かないと無理ですよ。更に、離島の空港からタクシーで40分くらい掛りますよ。だから、物理的に今すぐは無理です。」
『フェリーは?』
「昨年、汽船会社が倒産して、その航路は無いですよ。 別の汽船会社のなら、迂回しながらの航路で、1日1便、片道3時間半かかりまして、帰りの便が無いから宿泊しないと帰れないですよ。1泊2日の仕事になりますが、広域災害で弊社もパンク状態ですから、1泊するのはスケジュール的に無理がありますから、再来週くらいで勘弁して下さいよ。」
もちろん、弊社提言で納得する訳も無く、電話は切られた。
依頼を丁重にお断りしたにもかかわらず、 数分後、依頼状と事故受のFAXが届き 何故すぐ対応できないかの理由を被害者に至急連絡する様に と文書が届いた。
FAXの依頼状は弊社の名前では無く、ライバル鑑定事務所のままであった。 これって誤FAXと取られてもおかしくないよねと思いながら。
多忙な中、笑ってしまった。
後記…いろいろあったが、なんとか対応して解決したが、後日、 この会社から新規で仕事が来ることはなかった。 まあ、予想通りの【想定の範囲内】であった。
まるで、経営者日記で申し訳ない。
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