贋作鑑定 2
刀工(刀鍛冶)は過去の有名な刀工の作品を写し取り、匠の技術 を学ぶ。 これは『写し』と言い、技術を盗むという言い方で、 悪いことでは無い。
絵画においても古の画家の作品を描いて『模写』という名の 勉強をする。 美術館の絵を模写して有名な画家の技術を学ぶことは大切な事である。
もちろん、これらは贋作とは違う。
弊社の内壁にはフェルメール,ルノワール,モナリザ,ドガの踊り子等の絵画が飾ってある。 もちろん、いずれも印刷されたポスターである。
まあ、額装がチープなので真作には見える訳もなく、ボロい事務所の壁に 高価な絵画が飾ってあるわけもなく、貧乏事務所、偽物絵画丸出しである。 面目ない。
『贋作』とは有名な刀工や画家の作品を別の作者によって偽造して 作成者の名を有名な刀工や画家の銘を打ったり、名前をいれたりして 高価に販売する悪質な偽造品である。
有名な作家の作品を真似る行為は模写であるが、完璧にそれを作った人物が自分の名前で銘を打つと、金銭的な価値は無い。
しかし、有名な刀工や画家の名前で出せば贋作である。 しかも、騙せたら、高く売れる。
まあ、自分の名前が売れてない無名の作者の場合、有名な人物の 銘を打てば偽作が高額に売買される構図である。
過去に述べたが尊敬する先輩鑑定人の手法や技法を真似して、 模倣して、類似の事案の鑑定書を作成することを贋作とは言わない。 絵画的に言うと『習作』であると記載した。
フェルメールの贋作を作り続けたメーヘレンはフェルメールの模写では無く、 フェルメールのタッチで全く他の構図で作品を仕上げた天才である。
残念ながらフェルメールの作品として売買したから犯罪であろう。
メーヘレンが描いたのは自らのオリジナル絵画であり、メーヘレンの『真作』 であるのにフェルメール作としたから問題がある。
しかしメーヘレンはなぜか悪者と思えない。 彼なりの美に対する思いがあったのかもしれない。
逮捕され、裁判で実刑となり、獄中で病死したが、 その技術は素晴らしい。
贋作の作成者は絵がうまい事を立証して見せたのである。
令和2年4月22日
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