「寝た子を起こすな」
寝ている子供をわざわざ起こして泣かせることはないの意味の言葉から転じて、不必要なことをした為に生じる逆効果を示す諺である。 4年前の熊本地震の際に生じた事象である。
保険会社の福岡の対策本部から弊社まで160km離れていて、弊社は 対策本部外の出先の拠点という位置付けになった。 もちろん、その事務的なこと、アポイント的なことは弊社事務員が無償で 行わなければならない。
メインの罹災現場は島原半島に集中し、島原市か南島原市がその殆どであった。 現場に行く小生も5件/日が限界で1日の走行距離が300km超であり、 もちろん、土日無し、休日なしの5ヶ月間であった。
残業時間は200時間超/月である。 労働時間について法律上問題があるなんて言っている場合では無い。 立会調査を順次こなしても、休みなく調査しても、 次から次にFAXで立会依頼が来る。 しかもどれも至急と書いてある。
保険会社5社分を弊社のみで対応することになる。 弊社の取引先は対策本部が福岡市にしかない為、Away拠点であり、 損保会社の支援は一切なく、自前で管理表を作成し、立会調査をしていた。
全社的に保険金請求書の取付も義務付けされて、弊社がやるしか方法 はなかった。 被災者の為には弊社社員が犠牲になり、倒れるまでやるしかない状況 であった。 今週はもう、無理と発言してもじゃあ日曜日の夕方など、 どんどん至急事案が割り込んでくる。
当然揉めても弊社自己責任での解決しかない。
Awayの立会拠点の為、保険会社の社員がいないから弊社の自助努力で頑張っていた。
福岡市の対策本部からは処理率を上げろと命令が来るし、 弊社パンク状態と説明してもなんら支援は無い。
福岡県も大変な状態だから、どうしようもない。 そんな中、保険会社の対策本部に本店の社員が大量に応援に来ることになり、弊社も助かったと思った。
事態は一変してもっと苦しくなるとは思っていなかった。
なんと、この応援社員達は『ローラー作戦』と称し、 長崎県の島原半島のの契約者に片っ端から電話しまくり、 事故報告もない契約者に対象になるかどうかの判定に鑑定人を派遣しますとコールし続けたのである。
今現在、パンク状態で、立会が出来ていなくて、お待たせしてる契約者分が100件程ある中で、無責かもしれない事故報告の無い人々まで立会を余儀なくされた。
『なんだ。応援じゃなく、弊社をいじめに東京から来やがった』 と思った。
追加事案のアポイントをとって『立会日が再来週の火曜日以降になります』と言うしかない現状の忙しさ。
そうしたら、契約者から大クレーム 『お宅ら保険会社がしつこく電話して来て 見せてくださいというもんだから待ってたのに 再来週とはどういうことだ。 すぐ来い』…etcなど、弊社が怒られなくていい事で怒られる日々。
※長崎県の地震被害は震源地の熊本県に近い島原半島が殆どであった為 弊社から片道2時間掛る。
※島原市に宿泊して対応したいが、個人情報の漏洩問題で契約内容を別場所で管理することは禁止である。
そう、「寝た子を起こすな」である。 元来、事故報告して来た契約者の立会が残っていて無休で立会しているのに事故報告の無い契約者まで追加してはいけない。
処理率が80%くらいになってからやるのは良いが、処理率20%くらいの時に鑑定人に宿題を出してはいけない。
鑑定人の応援(増援)を懇願したが、熊本県で手一杯ということで、 弊社のみで対応した。
その時、弊社には小生も含めて2名しか鑑定人がいないのである。 2名で800件程の至急立会は地獄であった。
その後、弊社の従業員の鑑定人は保険会社についていけないとのたまい退職した。
「寝た子を起こすな」の通り、まず、起きている子供をなんとかしてから、余裕が出来てから寝た子を起こしてやるべきである。
令和2年6月1日
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