浮浪者の住む家 その5
長崎地方法務局で登記簿謄本を入手してみた。 なんと、なんと、登記簿が汚れ過ぎている。
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おい、おい、この契約者=被保険者=東京在住=所有者=ご婦人は 借金まみれじゃないのか?
そうこうしているうちに、オーナーは東京に戻った。
折からの台風被害の集積事故により、保険会社も弊社も本件の保留で 別件のアクティブ事案に専念していた。
一般に木造住宅は、人が居住しなくなると急速に建物が傷み、木材が腐朽し老朽化してしまう。
九州の場合は特に台風が襲来すると、倒壊の恐れが高まる。 昭和56年以前に新築された家屋(当該建物は昭和38年に新築) の場合、旧耐震法で認可されている為、地震の振動にも弱く、 倒壊の恐れがある。
伝説の山岳民族「山窩」(サンカ)の末裔らしき家族が去ってから 1年が経過して、この事案は『死に案件』というデッドストック(保留事案)と なっていた。
契約者の携帯電話に連絡しても「現在、使用されていません」のコールであった。
山奥の無人となった空家は、放火犯にとっては絶好の場所である。
ボロボロの襖や乾燥しきった家は良く燃えるし、そこに置いてある家財も 助燃剤に一役買うし、何よりも人目につかない為放火は容易である。
そう、1年後、この建物は全焼した。
令和3年3月1日
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