格落ち損害その2 平成20年10月15日、今から11年程前の投稿の続編である。
印刷屋の長男であった小生の幼少時の頃。 父親の取引先の問屋が火災に遭い、 その時、新品である学習机が煤を被り、商品として売れなくなったから保険で原価を払ってもらって事なきを得たが、この学習机を 売価50,000だけど、10,000で買ってくれと頼まれた。
実父は次男の小学校1年生になるお祝いとして格安の机を購入した。 煤は適当に拭かれて少々黒っぽいが小生が磨いた。 机の天板の端っこが捲れていたところは接着剤で済ませた。
『これは傷物だけど、新品の最新型の学習机だ。』と次男にプレゼント していた親を見たが、6歳の弟である次男は照明器具ビルトインの学習机に喜んでいた。
そう、問屋は商品の全損認定をして保険で補てんしてもらっているにもかかわらず、陰では傷物を売りさばいていた時代である。
だから、当時、不当利得をさける為に焼残物屋である鑑定人に頼んで保険代位として 焼残物を現物引揚げしていたのである。
蛇足ながら、昭和の時代の鑑定会社は○○商店という名前の鑑定会社が存在していてペーペーの小生は驚いていた記憶あり。
『傷物』という類似の事案を鑑みる。
物理的な破損や傷があって、機能的には支障は無いが外観が損われた損害において記述する。
近年の火災保険でいうところの破損、汚損は約款上の問題もありこの手法は使えないことがある。
横断歩道を歩行中の小生が車に跳ねられ、 交通事故でダンヒルの時計に傷が入った事故の場合。 全損ではないが、美観的な格が落ちてしまった腕時計について考察する。
1.時計店でオーバーホールして確認したが、外観だけの傷で正常に動く。 2.遠くから見れば気にしなくてもいいと思うくらいの傷である。 3.時計としての機能的な要素に支障はない。 4.筐体のみの傷である。 5.サファイア硝子のせいか硝子は割れていないし、キズも無い。 ※実際は硝子に傷は入るが、肉眼では割れていないという事
以上、1~5に依り、下記算定式にて損害額を計算してみると
再調達価額 \270,000(スイス製、消費税込み、平成4年購入) ※当時、小生はサラリーマン鑑定人であり、持ち合わせが無く、ローンで購入 最終残価率 10% 実務耐用年数9年 経年減価率 10%(=(100%-10%)/9年) 減価控除率 50%残価 (10[%/年]×29年使用) 時価額 \189,000(= 270,000×(100%-30%)) 損害額 \ 18,900(= 189,000×格落ち損10%)
本件は筐体取替による復旧ができないものの、キズが発生した損害額の考え方と思う。
高価な腕時計でも継続使用財である以上、消耗品であり、 前述の査定方法が正しいと考える。
その昔、小生が24歳の頃、好意を持った女性に 『男なんて消耗品よ!』 の発言というかご提言を頂戴し、『えっ~』と驚き、一気に目が覚めたピュアな小生。
男性も時計も消耗品であるかもしれない。
令和3年3月4日
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