基礎含む契約の危険性
17年前(平成20年8月13日)に記載した基礎含む、含まず契約についての 議論の続編である。※ここでは簡易に基礎工事費を10%で議論する。 保険の対象である建物の保険金額を10%程度上げる為に「基礎含む」にして保険料増収と言われていた17年前。 近年、基礎含む,含まずなんて業界で誰も気にも留めてないであろう。 「基礎含む」契約は、火災に因る全焼で保険金額の全額払いのない契約であると 言っても過言ではない。
基礎含む契約は火災においてはすごく危険な考えである事は過去にも述べた。 火災現場に赴いてよく見てきましょう。 コンクリート布基礎やベタ基礎が燃えた現場は経験していない。 『火は上に、煙は横に水は下に…』の考えの元、出火しても火炎は上昇するから基礎コンクリートは燃えない。 爆発事故もそう。 そもそもコンクリートは燃えない。バーナーで炙っても焦げるだけで問題ない。 被害の発生しない部位に保険をつける事は契約者にとって保険料を無駄にしている様なものと思える。
翻って鉄筋コンクリートの建物は全損になりにくい。だから保険料率も安価である。 RC造のバックドラフト現象を除外して全損を経験していない。 その事は保険会社も熟知していて 『付保割合条件付実損払特約条項』で保険価額の60%引受等存在する。
焼場の解体工事後で基礎だけ残して木部等の上物だけ手バラシで解体現場をよく見る。 長崎市の傾斜地で重機が入れず、人力解体の現場である。 ならば、従来通り、「基礎含まず」契約であれば何の問題もない。 火災で上物(土台以上の部材)が全焼したら、全損で保険金額通りの支払 がベストである。
ちなみに『焼場』の反意語が『平場』である。 保険をいくらつけたらいいかの評価鑑定が『平場鑑定』と言うが近年 広域災害のみの鑑定人が増え、平場鑑定と言う言葉をその御仁達から『死語』との指摘を受けた。 更に10年目を迎えるその他社の鑑定人が火災(火事)の立会をした ことが無いと告白された。
火災はレアケースであり火災の現場はうちの社長しか出来ないと言われた。 そう、台風,水害,地震の広域災害しかやった事が無いとの由。 時代のニーズとは言え、ちょっぴり寂しい。 火災の立会の多い小生は火災が保険の損害の基本と思っていた。 地震保険でも全焼の火災調査はあるし、阪神大震災(平成7年)の時は 兵庫県の青木駅周辺で地震保険の調査で全焼事案を複数担当した。 『少年よ大志を抱け』の如く『若手鑑定人よ、大火を経験せよ』 である。
保険金額\10,000,000の建物(基礎含む契約)が基礎を残して焼けたら 90%の損害であり\9,000,000の支払いとなる。 しかし、各社の社内マニュアルで80%以上の損害は全損とみなすとの意見があり、上記\9,000,000の損害でも\10,000,000払うとご主張される人々も存在する。
残念ながら保険契約を交わす際に基礎含むかどうかは〇をつけるだけである。
自動的に基礎含む〇になっている保険会社もある。
ところが、基礎含まず契約でも地震保険(木造の場合)では主要構造部として基礎の損害を算定する。これは国の指針により決定されている。 う~ん、矛盾が多すぎるのに議論されていない事象であるが被保険者有利でこれでいいのであろう。
「門,塀,物置,畳,建具,基礎」全部含むでOKというのは罹災時 のトラブルのもとである。 「基礎含まず」契約が火災の現場からのお願いである。
令和7年3月16日
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